住宅は人がつくるもの。だからミスは起こりうる
誰かがなにがしかのミスをしたため、問題が発生したのです。人為的なミスは必ず起こるものですから、チェック体制がしっかりと機能しているかも重要になりますが、それも不十分だったということも指摘できそうです。このことも突き詰めれば人が関わるからこそ起こったことといえます。ちなみに、この問題でこれまでは特定企業の責任問題ばかりが注目されてきましたが、一連の流れでどの企業が最も責任逃れをしようとしているのかを考えてみると、問題の本質が見えてくるように思います。
要するに、謝罪会見などどこが動きが速かったのか、そうではなかったのかを見ると、企業のあり方、その会社にいる人たちの人間性が見えてくるように感じられます。
さて、話を元に戻すと、戸建て住宅の建築の場合も実は、マンションなど大型建築物と本質的にはあまり変わりません。例えば、建築家に依頼する住まいづくりの場合は、設計は建築家、建築は工務店と役割分担されます。大手のハウスメーカーでも工務店の人たちが工事を担当します。
要するに、住まい(建物)を造る過程では、色々な人たちが関わらざるを得ないのです。それは「一貫施工体制」、つまり自社で全ての施工をまかなっているというハウスメーカーでも同様。そういうことで、このため彼らは信頼できるパートナー(工務店)や大工さん、職人さんの確保、さらには彼らの教育や育成に力を入れています。
施工だけではなく営業などその他の分野の人たちでも同様です。営業担当者がしっかりとした提案ができないと、完成する住宅の質は高まりませんし、そもそも信頼できる人でないと安心して住まいづくりを任せることはできません。
また、アフターサービスの担当者がいいかげんな仕事をしていると、長期間にわたる満足度を損なってしまいます。事業者との付き合いは住宅が建った後の方が長いわけです。ですからこのような職種の人の質も大切になるのです。
良い人との出会いが、良い住まいづくりの最重要ポイント
ちなみに、営業担当者はハウスメーカーの「顔」のような存在。その出会いの善し悪しは住まいづくりの入り口になります。皆さんそれぞれ、家族一人ひとりとの相性もありますから、慎重に選びたいものです。中には、自分の営業成績ばかりを気にしていて、お客さんの要望やペースをないがしろにする営業担当者も事業者の規模を問わずいます。そうした人に出会うと、後々後悔することになりかねませんから要注意です。
ところで、直近ではある工務店経営者が奥さんを殺害した上、施工した住宅の床下に遺棄したという事件も発生しました。これは極端かつ特殊な事例ですが、この場合、その住宅の施主さんはとてもその建物に住もうとは思わないでしょう。こんな出来事に遭遇するのは大変な不幸です。
そういえば、リーマンショックの後には住宅事業者が倒産し、工事がストップしてしまうという出来事もありました。事業者の倒産も突き詰めると人の問題です。「安心・安全な住まいづくり」などとよくいわれますが、それを実現するのは人なのです。住まいの建築や購入を検討する場合は、相手のことをよく理解すること。このことをしっかりとやっていれば、後々、大きな後悔をする可能性は小さくなるはずです。
「住まい選びは人選び」とも言われます。これからの時代、このことを強く意識して住宅取得の検討をしていただきたいと思います。