タブレットPC/タブレット・電子書籍端末の選び方

新たな時代の幕開け?2015年のタブレットをふり返る

スマートデバイスの時代にとって2015年は、のちのち振り返った時にエポックメイキングな年になる可能性があります。今年の締めくくりとして、2015年のタブレットを振り返りながらその理由を解説していきます。

傍島 康雄

執筆者:傍島 康雄

タブレットPCガイド

Surface Pro 4

Surface Pro 4


2015年は、ギョッと驚くようなユニークなタブレットの登場はありませんでしたが、のちのち振り返った時にエポックメイキングな年になる可能性があります。今回は今年の締めくくりとして、2015年のタブレットを振り返りながらその理由を解説していきましょう。

タブレットを再定義したApple

タブレットは古くからあるジャンルですが、ここまで普及させたのはAppleの功績であると誰もが認めるはずです。2015年はその功労者が生産性重視のツールとして、タブレットを再定義した年でした。

iPad ProとiOS 9

iPad ProとiOS 9


そのキッカケとなったのがiOS 9です。中でも特徴的なのは「Slide Over」と「Split View」。Slide Overは、使用中のアプリの上に重ね合わせてアプリが開ける機能です。たとえば、ブラウザを使っているときに届いたメッセージを確認するために、アプリを切り替える必要がなくなりました。

Split Viewは、画面を二つに分割して、二つのアプリが同時に使える機能です。iOSはアプリを全画面で表示するので、一つのアプリしか使えない縛りがありましたが、これが解かれることとなりました。

次にiPad Proの登場です。これとiOS 9の組み合わせは、タブレットをひとつうえのステージへ引き上げました。大型化された画面は表示と操作エリアが増えただけではありません。iOS 9のSide OverとSplit Viewが、可能性を引き出してお互いの補完をし合うような関係です。ソフトとハードを自社で手掛けるからこそ出来ることです。他、純正キーボードが登場したのも初代iPad以来で、タブレットをあらためて生産性重視のツールとして位置付けようとしていることが読み取れます。

最後は性能面です。iPad Proに搭載されているCPUの「A9X」は、Intel Core i5に相当する性能を持つと言われています。GPUも同様で、iPad Proの総合力はMacBookを凌ぐほど。「タブレットだから……」と言い訳をしなくてもよい性能を持っています。

タブレットシフトを進めるWindows

また、2015年はSurface Pro 4のようにタブレットだけではなく、ノートPCとしても使える「2 in 1」スタイルのPCが登場して、Windowsタブレットの大半を占めるほどになりました。

Windowsは生産性の高いPCに、タッチ操作を持ち込みタブレットの良さを取り込みました。Windows 8はタブレットを重視しすぎてデスクトップユーザーからの不評をかいました。その結果、Windows 10ではゆり戻しがありましたが、依然としてタブレットモードを搭載しているのでタブレットシフトの歩みを止めることはありませんでした。

タブレットの良さも持ち合わせるWindows 10

タブレットの良さも持ち合わせるWindows 10


他、9インチ未満のWindowsタブレットのライセンスが無料化されたことで、雨後のタケノコのごとくタブレットが発売されて競争が激化しました。その結果、1万円を切る端末も珍しくなくなりました。とはいえ、VAIO Z Canvasのように用途に特化した高性能な製品があるのもWindowsタブレットの特徴で、今年のトピックでした。

また、忘れてならないのはWindows 10 Mobileです。米国が先行していましたが、2015年の後半から日本でも端末が出揃い活発になりました。その特徴的な機能「Continuum(コンティニュアム)」は注目です。これは、ディスプレイやキーボード・マウスを専用ドックやワイヤレスの使用によってWindows 10 Mobile端末と接続して、デスクトップPCのように使える仕組みです。

Continuumは注目の仕組み

Continuumは注目の仕組み

ディスプレイには端末の画面ではなく、Windows 10のような画面が表示されて、使い勝手もそれに似たものになります。ユニバーサルアプリであれば、スマホで使っていたものがそのまま使えます。タブレットとは異なる切り口ですが、これも生産性を向上させる新たな方法となるはずです。

動きのなかったAndroid

タブレット関連では、目立つ動きがなかったのがAndroidです。

9月末に発表された『Pixel C』が唯一となりました。端末のスペックは、CPUがNVIDIA Tegra X1、メモリが3GB、ストレージが32GBと64GBの2モデルが用意されており十分なパフォーマンスを持っています。このタブレットには磁石で固定して、タブレットの角度を100から135度の範囲で調整できるBluetoothキーボードが別売り用意されています。これと組み合わせることで生産性重視の端末としても使えます。

Pixel Cは、12月に入って米国を含む14の国と地域で発売になりましたが、残念ながら日本では発売されていません。

来年のタブレットはどうなる?

2015年は、iOS、Windows、Androidのいずれも専用デザインのキーボードを用意してPCに匹敵する性能を持ちました。タブレットは、消費の道具から脱却して、生産の道具に変化し始めたので、来年は生産性を重視したアプリに注目が集まるはずです。

2 in 1タブレットの代表例、Surface Pro 4

2 in 1タブレットの代表例、Surface Pro 4


この点で見れば、iPad Proは順調に対応アプリを増やしています。時間とともに対応していることも意識する必要がなくなるはずで、2016年もその地位は揺るがないはずです。

Windowsは、タッチ操作を意識したユニバーサルアプリの数が鍵を握ります。注目のContinuumもユニバーサルアプリが必要になるので、魅力的なプラットホームであることを開発者にどれだけアピールできるかが課題となりそうです。

Androidは、今年の流れから少し遅れているように見えます。タブレットに最適化されたアプリが少ないのは事実ですが、さまざまな画面サイズに対応しているので問題なく使えるアプリが多くあります。ただ、生産性の向上とはイコールではないので、タブレットに特化したユーザーインターフェースを持つなど質が問われることになりそうです。

タブレットは、進化の袋小路に入ったかと思われましたが、その余地を残していることが分かりました。2016年も引き続き目が離せない存在となりそうです。


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