研究開発系の中小企業にはハードルが高い銀行借入

話題のテレビドラマ『下町ロケット』に登場する佃製作所は、いわゆる研究開発型の中小企業です。ドラマの中でたびたび登場するのは、販売収益に先行せざるを得ない膨大な研究開発投資をいかに調達するかという問題。現実の世界でも、こういった問題はベンチャー企業はじめ中小の研究開発型の企業にはつきものなのです。

それでは、技術系のこうした企業の新規事業立ち上げに際して、一般的にどのような資金需要が発生するのか見てみましょう。

解説

開発型中小企業が事業化前に銀行借入をするのは至難の業

まず、新たに基礎技術を開発すると、そこから当該技術の事業化を検討することになります。そこで"最初の関門"として立ちはだかるのが、実用化に向けて一般的に使える技術として確立されるまでの「費用」です。この"最初の関門"については、全く利益を生まない開発コスト負担が企業を倒産の危機に追い込むことから、一般的に「死の谷」と呼ばれています。『下町ロケット』における、人工心臓弁「ガウディ」開発はまさにこの段階にありますね。

当初の事業化の段階を資金的に乗り越えると次にやってくるのが、生産設備の整備や販売網を確立させるための資金を確保するという関門です。事業を継続させるためには不可欠なプロセスですね。この関門は、進化論のダーウィンが「進化の過程には自然淘汰が存在する」としたことになぞられて、「ダーウィンの海」と呼ばれています。すなわち、この段階で資金不足におちいって、事業そのものが自然淘汰されてしまう企業が多いと言うことでもあるのです。

資金調達の打ち手

ではこれらの関門を乗り越えるために、どのような資金調達手段があるのでしょうか。一番身近な存在は親戚友人です。これは一般にスイートマネーと呼ばれるものですが、金額的に多くは期待できず、それなりの事業を起こすとなれば知り合い枠を超えた外部に求めざるを得ないでしょう。

外部調達で一番ポピュラーなものは銀行借入です。しかし、海のモノとも山のモノとも判断のつかない段階での開発資金というものを銀行から借りるのは大変難しいのです。特に「死の谷」段階にある事業は、返済原資となる収益が発生するまでにある程度の期間が必要となります。他の事業で収益が上がっていて返済原資が見込める企業ならともかく、生まれたばかりの技術系ベンチャー企業では借り入れのハードルは高いと言わざるを得ないでしょう。

さらに銀行借入は原則有担保借入です。すなわち物的担保か人的担保(保証人)が重要な審査ポイントとなりますが、立ち上げ間もないベンチャー企業の場合、不動産等担保価値のある資産を所有しているケースは稀で、創業者が資産家で十分な資産背景でもない限り保証人としての信用力もままなりません。これらを総合して考えると、一般的なベンチャー企業が銀行借入で「死の谷」を乗り切ることはかなり厳しいと言えるのです。