住宅設備・建材の選び方/住宅設備・建材選び

掃除のしやすさは、住まいの設備や建材で変わる!?

居心地のいい住まいをつくるためには、間取りだけでなく、日々のお手入れや掃除のしやすさも重要なポイント。ここでは、掃除のしやすさに影響する設備や建材アイテムやそれらの最新傾向などをまとめました。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

快適で暮らしやすい住まいをつくるためには、間取りはもちろん、通風・採光、断熱性や省エネルギー、ユニバーサルデザインなど、多くのことを検討する必要があります。その中でも、お手入れや掃除のしやすさは、日々の暮らしの快適さにも大きな影響を与えるポイントのひとつでしょう。

お手入れや掃除のしやすさは、間取りプランも関係しますが、取り入れる設備や建材によっても大きく左右されるもの。ここでは、窓や扉、床などから水まわりまで、掃除のしやすさに影響するアイテム、それら商品の最新傾向などをまとめました。

[写真協力]  LIXIL    

窓掃除のしやすさは、配置や窓のスタイルで決まる

窓掃除がしやすいかどうかは、その配置が大きく影響するもの。たとえば、採光・通風のために設けた高所にあるトップライトや高窓などは注意が必要です。階 段や吹き抜け周辺の窓も、手が届かず掃除が行き届かないケースも。開閉できないFIX窓も、場所によっては、屋外側の掃除が難しい場合もあるようです。プ ランニングの際には、快適性に配慮して窓を配置することは重要ですが、日々の掃除方法も考えながら検討することも必要でしょう。

また、窓の開閉スタイルによっても掃除のしやすさは異なります。プランニングにもよりますが、たとえば、内開き窓や回転窓など、窓拭きがしやすいタイプを 選ぶという方法も。室内側で両面のガラスを拭くことができるスタイルであれば、高齢になっても、安全に、こまめにお手入れができるでしょう。

窓プランの考え方は、次の記事にまとめています。
採光、通風、断熱etc. 窓のプランと選び方 ポイント8
玄関、リビング、浴室etc. 部屋別 窓の選び方と注意点

床材は、使用する部屋に合わせた機能を持つタイプを

広い面積を占める床材は、素足で歩いたり、座ったりと肌が触れることも多く、清潔さを保つことができる素材を選びたいものです。一般的な住宅の居室に使われる床材は、木質フローリングやコルク、カーペット、クッションフロア、タイルなど。それぞれ、耐汚性や耐水性、メンテナンスなどに配慮されているので、空間の使い方や暮らし方、掃除の仕方などに適した素材を選ぶことが大切です。

たとえば、多く用いられているのは複合フローリングには、単板(突き板)と化粧シートなどを張ったタイプがありますが、いずれも表面加工などによって性能が高められています。汚れやすい水まわりや子供室などでは汚れ防止や耐傷性、耐水性のあるものを、室内で犬や猫を飼っているのであれば、引っかきやおしっこへの対策を施したペット用の床材を取り入れることで、お手入れも楽に
なるでしょう。

床材の種類や特徴は、次の記事にまとめています。
ナラ、パイン、スギetc.無垢フローリングの種類と特徴
構造、性能etc. 複合フローリングの種類と特徴

開け放すことができる室内引き戸は掃除もしやすい

床面がすっきりしていることで、掃除機もかけやすい。[ウッディーラインundefined室内引戸undefined上吊方式undefined引込み戸]

床面がすっきりしていることで、掃除機もかけやすい。[ウッディーライン 室内引戸 上吊方式 引込み戸]

建具の選び方によっても、掃除のしやすさは変わってきます。室内扉に取り入れるケースも増えてきている引き戸は、開き戸(ドア)のように前後に開閉スペースが必要ないので、限られたスペースでも、広い開口部を得ることが可能。開け放しても扉が邪魔にならず、掃除もしやすいでしょう。

特に、床面がフラットになる(レールのない)上吊タイプであれば、ゴミもたまりにくく、掃除機もかけやすいなどのメリットがあります。扉のデザインも凸凹がなく、すっきりしているタイプを選ぶことで、埃が溜まることを防ぐことができるでしょう。

室内扉の種類や特徴は、次の記事にまとめています。
ドア、引き戸、折れ戸etc.  室内建具の種類と特徴
狭い空間でも設置でき通風も 室内引き戸の種類と特徴

使いやすい収納プランとすれば、空間は美しく保てる

収納プランもお手入れしやすさに関わります。たとえば、リビング・ダイニングやプライベートルームに壁面収納などを造作したり、ウォークインクロゼットを設けることで、すっきりとした空間となるでしょう。置き家具を少なくすることで床面が生まれ、掃除もしやすくなるもの。掃除機をかけやすく、お掃除ロボットなども動きやすい床面を保つことができるかもポイントです。

もちろん、出しやすくしまいやすい収納プランとすることも重要ですし、扉を設けて埃が溜まらないようなプランとすることなども、きれいな状態を保つ方法のひとつでしょう。

収納プランのポイントは、次の記事にまとめています。
リビングの壁面収納プラン 7つのポイント
リビング・ダイニングの収納プランの考え方と収納設備

キッチンプランは、換気扇、シンク、加熱機器がポイント

ステンレスのパーツを用いたシステムキッチン。シンクや排水口も掃除がしやすい。undefined[サンヴァリエ]

ステンレスのパーツを用いたシステムキッチン。シンクや排水口も掃除がしやすい。 [サンヴァリエ<リシェルSI>]

最近のシステムキッチンは、汚れにくくお手入れのしやすい工夫が随所にみられ、使い勝手も高まっています。各メーカーの特徴を理解して、わが家に適した機能を持つものを選ぶようにしましょう。

■換気扇
フード本体やフィルターなどの形や加工に工夫を施したものが増えています。シンプルな形状で不必要な溝や凹凸などを少なくし、汚れが溜まりにくいフード、 特殊加工したファンやフィルター、整流板を用いたり、フィルターそのものがないタイプも。フッ素や親水コーティングなどによって、お手入れを楽にしたもの、長い期間掃除が不要のファンもみられるようになりました。

換気扇(レンジフード)については、こちらの記事にまとめています。
キッチン換気扇(レンジフード)の基礎知識

■シンク

素材そのもの工夫や形状、表面加工などによって、汚れにくく、掃除のしやすいタイプが増えています。排水口のぬめりを防ぐために形状や水流を工夫したもの、排水口部分とシンクを一体構造とすることで、溝がなく掃除がしやすくしたものなども。また、シンク底の角度や形状に工夫を施して、排水口に効果的に水が流れ、ゴミがスムーズにカゴにまとまる商品などもみられます。カウンターとシンクのつなぎ目を無くすことで、汚れが溜まらず掃除がラクになるタイプもみられます。

シンクについては、こちらの記事にまとめています。
キッチンシンクの基礎知識

■加熱機器
お手入れのしやすさが特徴のIHクッキングヒーターは、グリルの清掃性を高めたタイプがみられます。ガスコンロは、天板の素材やコーティングなど、メンテナンス性を高めたものが増えてきており、パッキンで煮こぼれが入りにくいものやバーナー本体との隙間をガードするカバーを設けたもの、バーナーまわりの熱を分散・放熱させて表面温度の上昇を抑え、油はねなどの汚れを焦げつきにくくしたものなどもみられます。その他、掃除のしにくいゴトクは、単純でコンパクトな形状なタイプが増えてきており、簡単に外して洗うことが可能です。

加熱機器については、こちらの記事にまとめています。
天板、火力、便利機能etc. ガスコンロの種類と特徴

■加熱機器まわりの壁面
システムキッチンに多く設定されているのがキッチンパネル。汚れがこびりつきにくく、汚れても落ちやすい加工が施されたパネル状の壁材で、水や熱に強く、油汚れにも強いのが特徴。目地も少ないのでお手入れが簡単なのもメリットでしょう。

壁面材の種類や特徴は、こちらの記事にまとめています。
キッチンパネル、タイルetc.キッチン壁材の種類と特徴

システムバスは、床材、浴槽、ドアの汚れや水アカ対策を確認

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 乾きやすい床材やすっきりとしたインテリアで掃除も楽に。 [アライズ Cタイプ]

システムバスも素材や形状に工夫を施して、楽にお手入れできる工夫が多くみられます。ショールームでは、それらの性能の実験コーナーなどもあるので、具体的な機能をしっかり確認することも大切です。

■床材
各メーカーともに、表面の形状や処理加工に工夫することで、水が残りにくく、早く乾く床材が標準的になってきています。排水口もお手入れしやすい工夫が施されたものが多く、流水でゴミがまとまり掃除が楽なもの、汚れがたまりやすい排水口まわりもすっきりとした形状として、汚れや水アカがたまらないようにした商品もみられます。

床材など、システムバスの構成部材については、こちらの記事にまとめています。
浴槽、床材、水栓etc.システムバスのパーツ&アイテム

■浴槽

表面素材などに工夫を施し、汚れがつきにくく、簡単に掃除がしやすい浴槽が増えてきています。また、メーカーによっては、蓋を閉めスイッチを押すだけで、 自動で浴槽を洗う機能を持つタイプもみられます。

浴槽の基礎知識については、こちらの記事にまとめています。
快適、断熱、省エネetc. システムバスの浴槽最新傾向

■出入口扉
カビや汚れが溜まりにくいように、換気口を下桟だけでなく、中桟部分や上部に設置したもの、換気口部分をお手入れしやすい形状としたものなども。カビの発生や浸透を抑えたパッキ ンを採用したり、パッキンそのものをなくすなどの工夫もみられます。

浴室の扉材については、こちらの記事にまとめています。
操作性や安全性も重要 浴室扉(ドア)の種類と特徴

トイレは、便器の素材や形、洗浄方式などが影響する

凸凹の少ないデザインは、お手入れも楽に。undefined[サティスundefinedシャワートイレ一体型便器(タンクレス)]

凸凹の少ないデザインは、お手入れも楽に。 [サティス シャワートイレ一体型便器(タンクレス)]

便器も便座も形状や表面加工などで、汚れがつきにくく落としやすい工夫が施されています。便器は、汚れがたまりやすい継ぎ目や見えにくいフチ裏をなくすなど形状としたり、表面に加工を施すなどして、汚れがつきにくく落しやすい商品が揃っています。水アカの付きにくい新素材のタイプや独自の洗浄方式で汚れを落とすものもみられます。

便座や便蓋を着脱することができたり、便座本体をスライドやリフトアップさせるなど、便器と便座の隙間掃除をしやすくしたタイプ、便座裏側に特殊樹脂で加工を施し汚れを付きにくくしたもの、便ふたや便器内部を除菌したり、ボウル面にミストを吹き付けるなどして汚れを付きにくくした機能もあるので、実際に操作するなどして確認することが大切でしょう。

トイレや温水洗浄便座の基礎知識は、次の記事にまとめています。
トイレ選びの基礎知識
温水洗浄便座の基礎知識


「住まいは建てて終わり」ではありません。住まいを美しく保つためには、掃除やお手入れのしやすさにも配慮した家づくりはとても大切です。最近の設備機器や建材は、汚れにくくお手入れしやすい工夫が施されたものが多くみられますが、日常のわが家の暮らし方、将来的な生活スタイルなどをイメージして、必要な 機能を持つアイテムを選ぶことがポイントです。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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