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施主支給のメリットデメリット&進め方のポイント

新築やリフォームの際に、施主が自分で商品を手配し、施工会社に支給し、施工・取り付けを依頼する施主支給。こだわりのアイテムやコストを抑えるために、検討する方もいらっしゃるでしょう。ここでは、施主支給の基礎知識や注意点などについてまとめました。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

施主支給とは、設備や建材などを自ら購入し手配すること

新しい住まいへの夢は広がるもの。こだわりのアイテムがあれば早めに相談を(写真はイメージ)

新しい住まいへの夢は広がるもの。こだわりのアイテムがあれば早めに相談を(写真はイメージ)


施主支給(セシュシキュウ)とは文字通り、施主(建築などの場合では建築主、注文主のこと)が直接、自分で商品を購入し、配送の手配などを行い、施工会社(ハウスメーカーや工務店、リフォーム会社など)に支給することを言います。

一般的に、家を建てたり、リフォームを行う場合、施工会社に依頼し、設計や施工・監理などを進めていきます。設備機器や建材についても、プランニングや工事費も含め、契約する場合がほとんどですが、こだわりのアイテムであったり、コストを抑えるため、といった理由から施主自ら商品を手配し、施工や取り付けのみを依頼するというケースもあり、これを施主支給と呼んでいます。

現在の住まいで使用しているもの、思い入れのある建具や素材などを再利用する場合なども、支給品という扱いになります。

施主支給のメリットデメリット

■メリット  自由に選択、安く購入できることも
大きなメリットは、自分の好みのメーカーや商品を自由に選択できること。依頼する施工会社によっては、取り扱う設備・建材メーカーや商品が限られている場合もみられ、希望するアイテムを選べないこともあるからです。また、商品によっては、安く購入できるケースが多いことも魅力のひとつでしょう。

■デメリット  情報取集や説明、確認、調整など、時間とパワーが必要
デメリットとしては、選ぶ機器や建材にもよりますが、自分で商品を調べたり、適しているかの判断をしなければならず、情報収集には、それなりの時間とパワー、知識が必要になることが挙げられます。

また、窓口が施工会社と商品の購入先とのふたつになるため、施工会社への説明や施工範囲の確定、商品仕様の確認、手配やスケジュールの調整など、細かな作業が伴うことも。その他、商品購入時に代金を支払うことになるので、その準備も必要になるでしょう。

照明や洗面ボウル、水栓などを支給するケースも多い(写真はイメージ)

照明や洗面ボウル、水栓などを支給するケースも多い(写真はイメージ)


場合によってはコスト高になる場合も

基本的に施主支給は、直接購入するわけですから、商品を安く手に入れることが可能と言われています。インターネットで住宅設備や建材を扱う店舗もみられますし、メーカーの在庫品やモデルハウスの展示品などを安く扱うアウトレット店舗も。アイテムは限られますが、大型のホームセンターや家電量販店などでも購入できる商品もあるでしょう。

ただし、工事費や取り付け費などは別途かかるため、施工会社から取り寄せた場合の割引率等によっては逆に高くなってしまうケースも。施工会社は、それぞれの仕入れルートを持っているので、ある程度安くなるアイテムもあります。支給したい商品が、施工会社が手配する場合と、どのくらい差がでるのか、可能であれば事前に確認し、比較検討しておきたいものです。

施主支給の進め方のポイント

■ポイント1 施工会社には契約前に必ず確認する
施主支給を希望するのであれば、施工会社には早めに伝えておくこと。通常、施工会社は、商品手配と施工を共に行う場合が多いので、契約の際に明確にしておかないと、後々トラブルにつながることもあるからです。

選ぶアイテムによっては、給排水・電気・ガスの調整など細かな打ち合わせも必要だったり、通常、取り扱うメーカー商品と異なると、施工に慣れていない場合も。気持ちよく進められるように信頼関係を築いておくことも大切でしょう。

■ポイント2 工事の責任範囲やメンテナンスを明らかに

必ず確認しておきたいのは、工事の責任範囲やメンテナンスに関すること。施主支給で取り付けた機器や部材に問題が起きた場合の責任の所在、メンテナンス窓口などを明らかにしておくことは、とても重要なポイントです。

■ポイント3 工期に合わせ、納品の手配をすること
商品を購入する際に注意したいのは、納期の確認と工事の日程にあわせた手配。また、工事現場はスペースが限られている場合も多いので、商品の置き場があるかどうか、雨天の場合の保管場所や方法の確認も必要でしょう。

むやみに早く納品しても、現場では邪魔にしまうこともあるので、工事がスムーズに行えるように調整することも必要です。

工事の工程に合わせて手配することも重要(写真はイメージ)

工事の工程に合わせて手配することも重要(写真はイメージ)


■ポイント4 納品された商品は早めに確認を
納品の際は、施主が商品を確認することが原則。発注した商品かどうか、色や品番などの確認はもちろん、万が一、商品が傷ついていた場合、発送段階なのか、輸送段階なのか、施工段階なのか分からなくならないように、商品到着から数日以内に、直接チェックするようにしましょう。

不良品の返送や追加発注なども迅速に対応する必要がありますし、また、細かいことですが、施主支給によって出たゴミの処理なども、施主側が配慮すべきことでしょう。

■ポイント5 実物確認できるものは、ショールームなどでチェック
一般的に、支給しやすいと言われているアイテムは、照明器具やエアコン、カーテン、タオル掛けやペーパーホルダー、ポストなど。商品にもよりますが、洗面化粧台やトイレなど、建物本体への納まりがわかりやすいものは比較的進めやすいでしょう。

どのような形で購入するにしても、設備や建材メーカーのショールームで確認できるものは、実物をチェックすること。安いから、というだけで決定してしまって、後悔するケースもみられます。実物を確認すると同時に、ホームページやカタログなどで、性能や機能を調べ、比較検討することも大切でしょう。

かけることのできる時間とパワー、価格バランスを考える

ネットショップなどの充実、住まいへのこだわりを持つ方が増えていることなどから、施主支給への関心も高まっています。以前に比べれば進めやすくなってきているようにも感じますが、支給品の内容や施工する会社によっては難しいケースもみられます。

商品を選ぶだけではなく、工事の進行にあわせた納品手配や打ち合わせが必要なので、家づくりという多忙な作業の中、どこまで、パワーと時間をかけることができるか、価格とのバランスなども含め、検討することが重要でしょう。

将来のメンテナンス、補修なども考慮することが重要

忘れてはいけないのは、住まいの設備機器や建材は、設置すれば終わり、というものではないということ。竣工後、メンテナンスや補修なども必要ですし、不具合が建物全体にも影響するアイテムもあります。

施主支給に限ったことではありませんが、設備機器や建材商品を選ぶ際には、建築時のことだけでなく、将来的なことまでも含めて考慮することが重要なポイントです。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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