アドバイス1 教育費を削減せざるを得ない状況
ご相談内容を拝見する限り、確かに厳しいという実感です。もっとも憂慮すべきは、貯蓄が確実に減っているということです。一時期は400万円ほど貯蓄があり、今はその5分の1。しかも、学資保険や養老保険も解約。このままでは今ある貯蓄が底をつくのも時間の問題です。家計負担をきびしくした大きな要因は、転勤先での住宅購入だったと思います。頭金なし3200万円を全額借り入れたわけですから、いくら低金利とは言え、大きな負債を背負ったことになります。
効果的な家計改善は固定費の削減ですが、この住宅ローンに関しては手をつけられないのが現状です。新たに手数料が発生することを考えれば、借り換えは現実的ではありません。売却しても、間違いなくローンは残債します。結果、住宅ローンは手を付けられないということになります。
とは言え、どこかで支出を削減しなくては家計改善につながりません。
現時点で可能なのは学習塾でしょう。親として教育費を削るのは心苦しいでしょうが、仕方がないと思います。「東京の教育水準と比較すると、不安になり、削減できていません」とありますが、それでも現状を考えれば、学習塾の優先順位は低いと言わざるを得ません。大変でしょうが親も協力して、自宅で勉強できるよう環境を整えてください。また、塾に支払うコストを削減すれば、送迎の費用や手間もなくなります。
アドバイス2 転職が現状改善の有効な方策のひとつ
実は、ご相談者の収入は決して低いわけではありません。工夫すれば、家族4人でも貯蓄できる水準です。それでも、家計が苦しいのは、一般の家庭ならもっと下げられるコストを下げられないからです。それが車両費と食費です。とくに食費は、本来なら月5万円程度に抑えられるはず。それだけで月の赤字は解消されます。食費に関しては「勤務先からの購入義務もあり」とのこと。確かに多かれ少なかれ、企業にはそういった部分があるでしょうが、これまでの経緯を考えると、結局、勤務先に家族全員が振り回されているという印象です。もちろん、相談者の方がもっとも感じていると思いますが、およそ優良企業とは言い難いものです。
相談者ご自身もその思いで転職活動されていますが、一刻も早く新しい職場を探すことが、現状打破の有効な方策でしょう。自宅を購入したため、単身赴任も覚悟されているとのことですが、それでも状況が改善されるなら、すべきだと思います。
アドバイス3 教育ローンには手を付けるのは危険
当面の家計の目標としては、毎月の収支で赤字を出さないことでしょう。学習塾費用の削減と、後は雑費4万円をどれだけ下げられるか。細かい作業ですが、予算を立て、削ることができる部分はしっかり削るべき。大変でしょうが、ここが家族の頑張りどき。そして、ボーナスは全額貯蓄に回す。手持ち資金を少しでも増やしていくことを、今は最優先に考えてください。と同時に、収入を増やしていく方向も模索してほしい。奥様のパート収入を増やすことがより現実的ですが、そのためにはクルマでのお子さんとご主人の送迎を削らなくてはなりません。そちらの交通や地理的状況はわかりませんが、学童を利用するなどの方法はないのでしょうか。
気を付けたいのは「教育ローン等の利用で借財も増えてしまうばかりではないかと怖い思いです」という点。これ以上、ローンを増やすことは避けてください。あまりにも危険です。固定費を増やすことは、家計を苦しくする大きな要因となります。奨学金利用も同様。その金額にもよりますが、お子さんに社会に出る前から大きな負債(多くの場合、有利子)を背負わせるということを認識しておくべきでしょう。
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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