どのカードが強いかは、プレイヤーが決める
レアで強力なカードが手に入ればそれで勝てるかというと、そう単純ではありません
5段階ある希少度の中で最高ランクのレジェンダリィに位置する「ケルスザード」というミニオンがいます。ターン終了時に、そのターンで死亡した味方のミニオンを全て召喚しなおすというカードです。
ミニオンがある程度揃っている場面で出せれば、味方のミニオンは相手のミニオンと気軽に戦って相討ちさせて、ターン終了時に自分の仲間だけ復活ということで、大変に強力です。「断末魔」という、ミニオンが死んだ際に発揮される能力と組み合わせればさらに効果は大きく、それだけで勝負を決めかねないカードです。しかし、このケルスザードも、単体ではさほど強いとは言えません。
マナは毎ターン自動で増えていくので、手札にくればどこかのタイミングで必ず召喚はできるわけですが、その時ゲームの状況がとても重要になります。単体で召喚しただけでは、その能力を警戒した相手の猛攻撃を受けてあっという間に倒されてしまうだけしょう。
ケルスザードとは逆に、希少度が低く、誰でも手に入れられる何の能力も持たないミニオンもいます。「チルウィンドのイエティ」という、最低レベルの希少度でゲームを始めたプレイヤーなら誰もが入手するミニオンがいます。チルウィンドのイエティは何の能力も持たない代わりに、ちょっとだけ同じコストのミニオンよりも体力と攻撃力が高いミニオンです。
ゲームを始めたばかりのプレイヤーは、それ程魅力のない普通のミニオンだと思うかもしれません。しかしそうではないんですね。そのちょっとの体力と攻撃力の差が、ハースストーンでは非常に有利に働くように設計されています。
相手のミニオンを攻撃した時に、あるいは攻撃されたときに、一方的に倒されるのか、相討ちなのか、自分だけ生き残るのか、そのギリギリの分かれ目が、勝負の流れを作っていきます。ケルスザードとは逆に、どんな状態で出しても、確実にコスト以上の働きをしてくれるミニオンとして大変に人気があります。
このバランス感覚なんですね。ありふれたカードとレアなカードに差はありつつも、ゲームの上で強いか弱いかは、プレイヤーの作るデッキやプレイによって大きく変わります。たくさんあるカードが作るゲームの生態系が実に熟慮されていて、1枚1枚のカードに可能性を感じます。
さらに、これらのルールやカードの持つ対戦の面白さ加速させるのが、ゲームモードです。