簡単なルール、安定した対戦
手前が自分で奥が相手、手札からミニオンや魔法のカードを使って戦います
良くできてる仕組みの例としては、1ターンごとに自動でそのターンに使えるマナが1つずつ増える、というものがあります。マナというのはカードを使うために必要なポイントで、カード毎に、使うのに1マナが必要なカード、2マナが必要なカード、というように設定がされています。カードゲームではこういったカードを使う為の条件のことをコストと呼ぶことが多いのですが、コストの大きいカード程、カードの能力も強力になっていきます。そして、コストの管理がゲームの戦略を大きく左右するとともに、非常に複雑になりやすい点でもあります。
ハースストーンの仕組みはこのコスト管理を実にシンプルにし、なおかつゲームを安定させるのに役立ちます。何しろ、自分の順番が回ってくるたびにマナが1つ増えるわけですから、1マナのカードは最初から使える、2マナのカードは2ターン目から、7マナの強力なカードは7ターン経たないと使えない、と、誰でも分かります。
この仕組みは分かりやすいと同時に、「事故」が非常に少なくなります。カードゲームでは、最初に配られたカードが悪くて、ゲームの序盤に何もできない展開になることを事故と呼びますが、ハースストーンではマナは確実に配られるわけで、マナが手に入らないことが理由で事故が起きることはありません。
また、プレイヤーが自分のキャラクターとして選ぶヒーローには、それぞれ2マナで使えるヒーローパワーという能力が1つあります。敵に1点ダメージを与える、味方を2点回復する、ミニオンを召喚する、などなど。特殊能力は1ターンに1回使え、この能力とカードを組み合わせて戦略に幅が出てくるわけですが、一方で、使えるカード無くてもやることが無くならない、という保証になっていて、これもやはり事故を防ぎます。
もしかすると普通に遊んでいるとこの恩恵に気がつかない人もいるかもしれません。しかし、オンラインゲームで対戦して、勝つとランクがあがったり、報酬がもらえたり、ということがある場合、不運によってゲームに負けたということが多いとストレスになります。カードが配られただけで一方的に対戦をやめてしまう人も増えるでしょう。そういったゲームの面白さを損なうケースを確実に減らし、何度も遊びたいというモチベーションを高めているはずです。
シンプルで分かりやすく、戦略性があり、そして事故を減らし、何度も遊びやすいゲームに作り上げている、実によく練られています。完成度が高いと感じます。次は、カードについて、お話したいと思います。