住まいのイメージを左右する玄関扉。多種多様な商品が揃う
熱が逃げやすい玄関扉の断熱性を高め、室内温度を快適に。木目の質感を生みだす「浮造り」を再現。[TOSTEM 高断熱玄関ドア グランデル2] LIXIL
住まいの印象を決める玄関まわり。スペースのプランニングはもとより、用いるアイテムや素材などによって、外観のイメージも大きく変わるものです。そのポイントのひとつとなるのが玄関扉でしょう。
玄関扉を検討する際には、使い勝手やデザインはもちろん、敷地条件や断熱性、防犯性などにも配慮することが重要です。各メーカーからは、さまざまなタイプの商品が揃っているので、外観デザインやプランニングなど、わが家の条件、優先順位に合わせて選ぶことが可能です。
Point1 玄関扉は間取りやスペース、使い勝手に適した開閉スタイルを
引戸専用のハンドル一体型電気錠「スマートコントロールキー」を標準搭載した断熱スライディングドア。木調枠や通風タイプなど豊富な扉デザインが揃う。[コンコード 新デザインB07(外引込みタイプ)] YKK AP
玄関扉の開閉スタイルには、開き戸(ドア)と引き戸があります。以前は、開き戸は洋風な建物に、引き戸は和風住宅に、というイメージもありましたが、最近では、引き戸の商品バリエーションも豊富になり、いずれのスタイルでも、和洋問わず、さまざまデザインの住宅に取り入れることができるでしょう。
開き戸の場合、扉の開閉スペースが必要になりますが、引き戸は横にスライドさせるため、限られたスペースでも設置しやすく、開け放しておいても扉が邪魔にならないのがメリット。狭小敷地であったり、玄関前がすぐに門扉や道路という敷地条件では、引き戸の方が取り入れやすい場合もあるようです。
また、開閉スタイルの検討と合わせて注意したいのは、開き戸であれば吊り元(蝶番の位置)を左右どちらにするか、引き戸であればどちら側に引くか、ということ。日々の使い勝手に影響するので、間取りや玄関アプローチプラン、動線などを考慮して決めるようにしましょう。
Point2 エリアに合わせた性能を持つ商品から選ぶ
高い断熱性能と優れた防火性能をプラスした玄関扉。炎の侵入を防ぐトリプルガラス(網入型)を採用。[InnoBest D50 防火ドア(104デザイン)] YKK AP
室内の熱を逃がさず、無駄なエネルギーを使用しないで快適な室内環境を保つためには、断熱材だけでなく、窓や玄関扉などの開口部に断熱建材を用いることも必要です。地域条件に応じた断熱仕様の玄関扉を選ぶことは基本でしょう。
断熱扉は、扉本体内部にウレタンなどの断熱材を充填したり、枠に断熱樹脂や気密材を用いるなどして、冷気や暖気の侵入や流出を抑える工夫を施したもの。一般的な扉よりも厚みがあり、扉に小窓などを設けたデザインの場合は、複層ガラスや高断熱複層ガラスなどを用いて断熱・気密効果を高め、熱の伝わりを抑えています。
各メーカー商品には、断熱性能を高めた開き戸は豊富に揃っており、ある程度の制約がありますが、引き戸商品も増えてきています。比較的重量のあるタイプが多いので、できる限りショールームで実物を開け閉めするなどして、使い勝手を確認することも大切です。
その他、建築基準法では都市部や密集地など、防火・準防火地域を指定し、延焼の恐れのある開口部には防火戸の使用を義務付けています。最近では、防火性能を持つ商品も充実してきているので、家を建てる敷地条件を確認した上で、基準にあった商品を選ぶようにしましょう。
Point3 家族が使いやすい取っ手(把手)を組み合わせる
玄関扉を開閉する取っ手(把手)には、いくつかの種類がありますが、メーカー商品には、開閉動作が楽に行えるレバーハンドルやバーハンドルが多くみられます。縦長のバータイプのハンドルであれば、下の方でも操作しやすく、子供から大人まで使い勝手がいいでしょう。また、押し引きするだけで開閉できるプッシュプルハンドルは、子供や高齢の方でも操作しやすいものです。
シンプルな直線的なデザインはもちろん、曲線を用いたエレガントな雰囲気のものなどさまざまなタイプが揃っているので、扉本体と合わせて検討することがポイントです。ハンドル部分に鍵を組み込んだデザインも多くみられます。
その他、ドアの開閉がゆっくりと静かに行えるドアクローザーがついたタイプは、安心して出入りができるもの。引き戸タイプにも、開けた扉から手を放すと自動的にドアが静かに閉まるクローザー機能を持つタイプもみられます。
Point4 ライフスタイルに合わせたキーシステムを検討する
ICチップ内蔵のカードキー/シールキーをドアハンドルに近づけるだけでカギを開閉できる。[スマートドア ヴェナート ピタットKey S20 片開き W7:ハニーチェリー] YKK AP
一般的な住宅の玄関ドアで用いられる「鍵」は、シリンダーキー。メーカーの玄関扉多くみられるのは、表面に多数の小さなくぼみがついているディンプルキーと表面・裏面にへこみを設けたウェーブキーでしょう。ピッキングを防ぐため、2ロックが一般的で、鍵1本でドアの2カ所を施解錠することができる、ワンキー・ツーロックが多くみられます。
また、電動で施解錠する、電池錠と電気錠(配線式)も。ボタンを押してICカードなどをかざすだけで施解錠できるもの、リモコンキーを身につけ、ドアのボタンを押すと解錠することができるものなど。また、リモコンキーをポケットに入れておけば、 近づくだけで解錠が可能なもの、ボタンを押すだけで解錠するものなども。ドアホンと接続して操作ができるものや室内のコントローラーやリモコンで施解錠するタイプもあります。
それぞれ、メーカーや商品によっても使い勝手が異なるので、家族構成やライフスタイルに適したタイプを選ぶこと。家族に幼い子供や高齢の方がいる場合は、それぞれが操作しやすく、鍵の扱いが難しくないシステムを選ぶことも大切でしょう。
Point5 空間プランに合わせて、通風や採光が可能なタイプを
限られたスペースでも設置しやすい引き戸タイプ。爽やかな風を室内へ採り込む採風タイプも。 [TOSTEM エルムーブ] LIXIL
玄関ホールは、限られたスペースの場合も多く、空間プランによって、窓を確保できず暗くなってしまったり、空気が淀んでしまうケースも。また、壁面収納などが設置され、圧迫感を感じてしまう場合もあるでしょう。
暗く、空気がこもりがちな玄関ホールの快適性を高めるために、最近の玄関扉には、スリットや小窓などを配して採光が可能なタイプが豊富にみられます。袖付き開き戸や親子ドアの袖部分にガラスを用いたデザイン、また、扉のスリット部分などに窓を内蔵し、玄関扉を閉じたままでも通風・換気ができるデザインも増えてきています。
玄関扉は、家全体の採光や空気の流れなども含め、窓(開口部)プランと同時に検討するもの。空間のつくりによって、それぞれに適した機能を持つ玄関扉を選ぶことも必要でしょう。
Point6 外観やエクステリアに合わせたデザインに。室内側にも配慮を
最近のメーカー商品の傾向は、すっきりとした、シンプルなデザイン。また、素材感や風合いに工夫を施した木目調、アイアンのオーナメントやタイルなどを組み込んだ優しいデザインなど、ナチュラルな雰囲気を感じるタイプも増えてきています。
玄関扉のデザインの選び方としては、外壁や窓サッシ、門扉やフェンスなどと同様の色やデザインを選んで、まとまりのある外観とする方法、外観のアクセントとして、ポイントとなるような色やデザインの扉を選ぶという考え方もあるでしょう。いずれにしても、日々、家族が使用しお客様を迎えるアイテムなので、飽きのこないデザインを選びたいものです。
また、室内側のデザインや使い勝手などにも配慮することも忘れずに。内装材や玄関収納などとのコーディネート、取っ手や鍵などの操作方法なども、しっかりと確認しておきたいものです。
Point7 リフォームの場合、施工が簡単な商品を選んでも
既存の枠の上に新しいドアを枠ごと取り付ける「カバー工法」のため、1日で完成。壁や床などを傷める心配もない。[TOSTEMリシェント玄関ドア3] LIXIL
毎日使用する玄関扉は、ある程度の年数を経ると、デザイン性や性能を高めるために取り替えを希望する方の多いアイテムのひとつ。最近では、簡単な工事で取り換え可能なメーカー商品バリエーションも増えてきました。
商品によっては、1日の工事で取り換えができる商品も。既存の壁を壊すことなく、既存の扉枠の上に、新しい枠と扉を取り付けることで、工期も短くて済むものです。工事中に気を使うこともなく、防犯面の不安ないのがメリットでしょう。開き戸だけでなく引き戸タイプも揃っていますし、スペースなどの条件にもよりますが、開き戸を引き戸に変更することも可能な商品もみられます。
Point8 ショールームで実際に操作し比較検討する
開き戸、引き戸ともに、デザインのバリエーションも豊富になってきた玄関扉。検討する際には、実際にショールームでデザインや色、素材感を確認するとともに、動かしてみることも重要です。玄関扉は意外に重さのあるもの。幼いお子さんや高齢の方がいらっしゃる場合は、開閉が楽に行えるか、買い物の荷物を持ったまま開閉できるか、キーシステムの使い方など、日々の動きを思い出しながら、操作してみることが大切です。
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