洗練されたアプローチ
マンションの設えにもトレンドというものがある。わかりやすい例がエントランスまわりやロビーなどの共用部。かつて管理人室は玄関入ってすぐの脇にあった。窓は小さく気軽なコミュニケーションを前提しているようには思えない。プライバシーと利便では前者が優先されたのだろう。次に、高級物件や大規模物件ではカウンターを設置。「コンシェルジュ」と名称も変わった。昨今のトレンドは「視界の抜け感」の重視だろう。風景との一体化を強調し、建物自体のスケールを感じさせない工夫が見どころのひとつだ。都心、リゾートを問わず、丘陵地の高低差をいかしながら雄大な自然を見せる例や敷地の大きさを吹き抜けの活用で相乗効果を図るなど高級ホテルに勝るとも劣らない例を見る機会が増えた。
「フォレストテラス鳥居坂」は、落ち着いた都心環境の一角にあるのだが、敷地形状をいかしたアプローチには洗練さを感じる。まずエントランス前にはドアマンが。オートロックを解除するとアートオブジェのおかれたエントランスホール、自然な動線に設置されたコンシェルジュカウンターに東京タワーを正面に見据えるラウンジと地理を最大限に生かした設計が印象的。
150.49m2(約45.52坪) 3ベッドルーム 月額賃料97万円
104 リビングダイニング(約20.5畳)
もうひとつは空間のゆとり。天井の高さは、ひとつのベッドルームを除き2.65m、キッチンも2.35mを確保。廊下幅は1.2~1.4mもある。ちょっとしたアートを飾る空間としても使えそうだ。
104.20m2(約31.52坪) 1ベッドルーム 月額賃料66万円
「106」はメゾネットプランである。階段そのものが大きな抜き抜け空間となって立体感を演出。機能だけにとどまらず、壁一面に大理石を貼り込むなどインテリアとして見せている。マスターベッドルームの巨大な収納、ゆとりある水回り、透明な間仕切りなど個性を感じさせるひと部屋だ。建物平面はちょうど鍵のような形をしているのだが、同タイプはその細いとがったところに位置している。建物中央のエントランスからラウンジやコンシェルジュカウンターのあるスペースと逆の方向にあり、独特の空間もさることながらアプローチも隠れ家のような一邸である。
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