将棋/将棋関連コラム

愛棋家のための宴会ソング-将棋替え歌・熱唱編

日本の伝統文化、宴会。神代の昔から続くそれは、忘年会、新年会を始め、歓送迎会、花見と多様化し花開いてきた。もちろん、その必須アイテムは歌である。歌を制すれば、宴会の永世名人も夢じゃない。今回は、愛棋家の皆さんに、とっておきの将棋替え歌をガイドする。

有田 英樹

執筆者:有田 英樹

将棋ガイド

四季折々、津々浦々、我が国には宴会が存在する。

忘年会・新年会を筆頭に、花見、暑気払い、歓送迎会、運動会の打ち上げなど枚挙にいとまがない。アマテラスの時代から続くもろもろの宴会は、日本の伝統文化と言っても良いだろう。ご承知の通り、宴会の必須アイテムは「歌」である。宴会の「宴」の訓読みは「うたげ」。それは「うた(歌)・さけ(酒)」を表すとも言われている。かように宴会のメインは「歌」なのである。

熱唱/イメージ

熱唱/イメージ

では、何を歌えばいいのか。皆さん、十八番をお持ちではあろう。しかし、昨今、歌のうまい人は多い。そんな中、いかにお得意ソングとはいえ、輝くことは難しい。ちょっとやそっとの歌唱力で、宴会の主役を取ることは至難の業なのである。だが、不可能ではない。将棋の神は、愛棋家のあなたをセンターに誘うことをいとわない。


 

将棋替え歌がある

豊川孝弘七段とガイド

豊川孝弘七段とガイド

センターへの道しるべ、それは、愛棋家だから許される将棋替え歌の熱唱だ。今回は、あの「棋界の音二郎」豊川孝弘七段(関連記事)と「趣味はカラオケ」と公言する北村桂香・女流初段が絶賛してくれた不肖・私オリジナルの替え歌をご紹介したい。

題して「愛棋家のための宴会ソング-将棋替え歌・熱唱編」。さまざまなジャンルに対応するため、洋楽、ジャパンポップ、演歌から一曲ずつガイドする。


洋楽から

まずは洋楽である。洋楽には会場全体をバーンと明るい華やいだ雰囲気に持っていく力がある。しかし、なにせ外国の言葉である。洋楽を替え歌にするポイントは有名な曲であることが大切だ。参加者の誰もが一度は耳にしたことがある、そんな曲を選ばねばならない。

「聴いたことねえなあ」なんて歌を選んでは、おじゃんである。今回採用した元歌はこちらだ。

そう、例の「オオ・ウェンザ・セイン!ゴー・マーチ・ニン!」である。アントニオ猪木がモハメッド・アリとの異種格闘技戦で入場に使った曲である。ハイテンションな歌。熱唱にあたっては、アームストロングのしゃがれ声をイメージしていただきたい。そして、シャウトである。頭に入れておいてほしい、今回の作品の要は「絶叫」なのである。

では、レッツ・シング・ア・将棋ソング!


『王座戦っ!』/作詞:将棋ガイド有田英樹(元歌『聖者の行進』より) 

王座戦っ!/イメージ

王座戦っ!/イメージ

王座戦っ
5八飛っ

王座戦 5八飛~

相穴、日(あい・あな・び) 
銀立って なんぼ~

王座戦 5八飛~


(*)王座戦っ!(観客を指さしながら絶叫、そして手を耳に、マイクを客席に向け、観客の歌を要求する)
(*)5八飛っ(できれば、観客と一緒に絶叫。のってくれば、(*)印を、気絶しそうになるまで繰り返す。場合によっては気絶も辞さない覚悟が必要だ)


いかがであろうか。洋楽替え歌の場合、歌詞に内容など求めてはいけない。要は日本語と外国語を結ぶ音感だ。歌詞のように王座戦で5八飛、つまり中飛車がどうこうしたわけではないし、相穴熊が多いなあなんて日に銀が立ったからといって「なんぼのもんじゃい」と言った事実もない。だが、この歌はノる。間違いなく、ノる。そう信じ、全てを賭してあなたがシャウトした時、会場はビッグバンするのだ。


ジャパンポップから

「TOKIO」/イメージ

「TOKIO」/イメージ

さて、ガイド世代(昭和中期生まれ)にとってジャパンポップと言えばジュリーだ。トムの相方を思い浮かべた、あなた。それはジェリーです。ジュリーはネズミではない。あの永遠なるスーパースター沢田研二のことである。

1980年、パラシュートを背負い、クリスマス真っ青の電飾に彩られ、歌った「TOKIO」。ジュリーがスーパーシティー東京と一体になる姿を目撃した私たち。日本中が沸点に達した瞬間だ。ガイドは問いたい。「TOKIO」を歌わずして、何を歌うというのか。というわけで、元歌は「TOKIO」だ。

ではレッツ・シング・ア・将棋ソング!


『TOKIN』/作詞:将棋ガイド有田英樹(元歌『TOKIO』より)

TOKIN

TOKIN

馬を取る 竜を取る
端(はし)を突(つ)きぬけ 香(きょう)を取る

飛(ひ)を抜(ぬ)いて 美濃(みの)を裂(さ)き
スーパー 歩兵(ふひょう)が 成り上がる

(*)と金  と金が 囲いを ぶち破り
と金 と金が玉を取る

盤に浮かんだ小駒の泡だと お前は言ってたね
二歩してしまい 死にそうだと
暗い 駒箱で 涙落とした

と金 さみしい歩兵が 返る時
と金 と金が玉を取る



(*)を 観客といっしょに絶叫し、繰り返す。

 

演歌から

山林のイメージ

山林のイメージ

いかがであろうか。ここまでくれば、もうこちらのもの。観客は投了間近である。そして、最後の締めに演歌である。演歌と言えば、そう、サブちゃんである。余談だが、スーパースター・サブちゃんを略してスーパーサブと言ってしまうと、意味が違ってくるので注意が必要だ。もちろん、ここで言うサブちゃんとは北島三郎のことである。

数々の代表曲を持つサブちゃんだが、ここまでギンギンに盛り上げてきたので、しんみりと行こう。日本の深い山林をイメージしたあの歌。『与作』である。

では、レッツ・シング・ア・将棋ソング!観客の心を詰むのだ!


『無策(むさく)』/作詞:将棋ガイド有田英樹 (元歌『与作』より)

「桂桂香~」を名に持つ北村桂香女流初段と

「桂桂香~」を名に持つ北村桂香女流初段と

(注1)歌詞中の( )内は、できるだけバックコーラスでお願いします。
(注2)歌詞中の「桂桂香」は「けい・けい・きょう」と歌ってください。

無策に龍を切る

桂桂香~(持ち駒は~) 
桂桂香~(それだけよ~)

手駒を 数えて 

桂桂香~(持ち駒は~) 
桂桂香~(それだけよ~)

無謀に 端攻める

とんとん死~(知らぬ間に~) 
とんとん死~(くらったよ~)

無駄手も いいところ

とんとん死~(知らぬ間に~) 
とんとん死~(くらったよ~)

無策 無策 もう飛車くれてやる
無策 無策 自玉は 詰んでいる

投了~ 
投了~


宴会の永世名人

いかがであろうか。心にしみいる熱唱に、うっとりの観客。もはや、あなたは宴会の永世名人である。彼らの言葉が会場に響くであろう。

「もう一曲!」

もう一局ではない。一曲なのである。ああ、なんたる幸せ。

こうして、愛棋家にとって最高の「終わらない宴が始まる」のだ。
アルコールの飲み過ぎとアンコールのやり過ぎにはくれぐれもご注意願いたい。

(了)

もしかすると、アニソン・童謡編に続くかもしれません。
てなわけで、キュート編に続きました。
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追記

「敬称に関して」

文中における個人名の敬称について、ガイドは下記のように考えています。
(1)プロ棋士の方の活動は公的であると考え、敬称を略させていただきます。ただし、ガイドが棋士としての行為外の活動だと考えた場合には敬称をつけさせていただきます。
(2)アマ棋士の方には敬称をつけさせていただきます。
(3)その他の方々も職業的公人であると考えた場合は敬称を略させていただきます。

「文中の記述に関して」
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