4WDの老舗が放つ、さらなる挑戦
昔からのジープファンにとって、レネゲードという名前はそれなりに特別なものであるはずだ。古くはCJ-7の、そしてつい最近まではラングラーやチェロキーの、いちグレード名(トリム名)として使われていたのだから。
とはいえ、過去には、“ジープ・レネゲード”というコンセプトカーを発表したこともあったから、“その日のために”大切にとってあったネーミングなのだろう。
とはいえ、レネゲードという単語の意味は、一風変わっている。「背教者、裏切り者」。どちらかというと、明るい系、きれい系、アクティブ系でプラス志向の多いクルマのネーミングにあって、正々堂々とネガティブ。おそらく、過去のジープモデルにおいては、その最もプリミティブなブランドイメージを厳かに覆す使命を、レネゲードというグレードは託されていたのだろう。たとえば、都会派のオフローダー、といった具合に。
ジープといえば、泣く子も黙るアメリカのオフロード・キング。その初代がご存知ウィリス“ジープ”で、第二次世界大戦におけるアメリカ軍のアイコンのひとつになった(ちなみに、戦時中の“ジープ”はウィリスとフォードが生産した)。
戦後、“ジープ”の名前を使う権利を得たウィリスは、その名もシビリアン・ジープ(CJシリーズ)を発表。民生用として4WD車のジープを売り出すことにしたのだ。
そんなわけだったから“四駆といえばジープのようにタフなクルマ”というイメージが広まった。今でもそういう一面はあるだろう。タフであることがジープブランドの骨格にもなった。そこから、タフだけれども日常実用的というSUVスタイルが発生することになる。ジープ・ワゴニアやジープ・チェロキーはその嚆矢というべきだ。
4WD界の老舗が放つ、さらなる挑戦が新型レネゲードだと思えば、そのネーミングも頷けるというもの。イタリアのフィアットを中心とするFCAグループのいちブランドとして、ジープはまた新たな世界を開拓しようとしている。