『HEADS UP!』観劇レポート
カラフルなキャストが愛情深く描く
“劇場という異空間”
『HEADS UP!』撮影:國田茂十
華やかなオープニングが終わって現実に戻ると、この日初めて舞台監督を任された新藤(相葉裕樹さん)をはじめ、制作、照明、音響に大道具など様々なスタッフが登場。大御所俳優・小山田(今拓哉さん)の鶴の一声で決まった、予算のない一回きりの公演にぼやきながらも粛々と仕込みを進めていると、緊急事態が発生! 先輩舞台監督・加賀美(哀川翔さん)も加わり、彼らはなんとか無事幕を開けようとするのですが…。
『HEADS UP!』撮影:國田茂十
背景もキャラクターも様々だけれど、“舞台への愛情”という点で一致する数十人が集い、裸の舞台にひとときの夢を乗せ、また去ってゆく。そんな劇場の姿を象徴的に描く本作には、作者、そしてかかわる人々の劇場愛がぎゅっと凝縮されています。そしてその象徴とも言えるのが、雑用係の熊川という青年。演じる中川さんがとびっきりの明るさで各場面に登場することで、観終わった観客はじんわりと心温まるものを感じるのではないでしょうか。何度も早変わりをするアンサンブルたちも大活躍の舞台です。