ほとんど一人の建築家がデザインした世界遺産の首都、ブラジリア
さて、隣に大きな構造物がみえるは、「ブラジリア/Brasilia」のコーナー。ブラジリアは、1987年に世界遺産に登録されたブラジルの首都。歴史的で伝統的な街並みを持つ都市が登録される世界遺産が多いが、建設から40年未満という近代的な都市の登録は、とても珍しいこと。他に類をみない貴重かつ重要な都市計画デザインを世界遺産として認めているのだ。
1960年に完成したブラジルの首都は、わずか3年でつくられた人工都市。なにもない荒涼とした内陸部の土地に突如として出現した近代建築の都市である。都市の基本計画はニーマイヤーの師である建築家:ルシオ・コスタ。そして、ニーマイヤーはほとんどの公共建築の設計を手がけている。
王冠の建築デザイン、ブラジリア大聖堂/Cathedral of Brasilia
この一国の首都の中枢となる建築のほとんどをひとりの建築家がデザインするということは、他に例のないこと。都市に建設された造形美あふれる美しい建物群は、世界遺産登録の決め手となっているといえよう。首都ブラジリアの数ある名作建築中でも特記すべき建築の一つが、「ブラジリア大聖堂/Cathedral of Brasilia」。
首都のほぼ中心に建つ16本の柱が花束のように束ねられ、まるで王冠のようにそびえ立つ大聖堂。斬新で造形的かつ象徴的なローマ・カトリックの教会建築デザインだ。ニーマイヤーは、山々や植物など自然のカタチをモチーフにすることが多いが、この大聖堂でもその手法は冴えわたり従来の大聖堂デザインとは一線をひく、スマートで美しい空間構成を意識したのだろう。
大聖堂の構造を再現した巨大な模型の出現には驚くが、今回の会場構成ではもっとスケール感あふれる模型(模型の域をこえている)が登場するからとても楽しい。
この大きな造形物の隣にも美しい大きな造形が展示されている。
なんて美しく、威厳のあるカタチだろうか。
これは、ブラジリアの地に最初に完成した建物、「アウヴォラーダ宮/Alvodara Palace」の一部。
ギリシャ建築に由来するデザイン、そして次のコーナーでは、あの「宇宙船」が登場する。
続きは後編で。
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■今回の関連リンク
→東京都現代美術館
【オスカー・ニーマイヤー展オフィシャルサイト】
→石川 尚のオフィシャルブログ
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