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家計のダイエットをメンタル面から成功させる方法

家計の節約と体のダイエットは、似ているとよく言われます。ダイエットを成功させるためには、メンタル面が重要と言われています。家計のダイエットについて、メンタル面から成功させる方法に考えてみました。

平野 泰嗣

執筆者:平野 泰嗣

ふたりで学ぶマネー術ガイド

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家計の節約も体のダイエットもメンタル面のサポートが大切

家計の節約と体のダイエット。長続きしない、リバウンドを繰り返すという共通点があるけれど・・・

家計の節約と体のダイエット。長続きしない、リバウンドを繰り返すという共通点があるけれど・・・

家計の節約(支出の削減)と体のダイエット(体重の減量)は、よく似ていると言われます。家計の節約もダイエットも、支出の削減(体重の減量)をする過程は辛く苦しく、失敗するか、成功しても、長続きしないでその反動でリバウンドを繰り返してしまいます。

ダイエットには、食事や運動、生活習慣に焦点を当てたものなど、さまざまなアプローチ方法があります。最近は、ダイエットの方法に合わせて、「途中で挫折しない」、「リバウンドしない」ために、メンタル(心理面)も同時にサポートしていくことが大切であると認識されています。そこで、今回は、家計の節約をメンタル面に焦点を当てて、成功させる方法について考えてみたいと思います。

家計の節約と体のダイエットの失敗の原因は!?

家計の節約が、途中で挫折してしまう、リバウンドしてしまう原因は、ストレスだと考えられます。心理学の世界では、心や体にかかる外部からの刺激をストレッサーといい、ストレッサーに適応しようとして、心や体に生じるさまざまな反応をストレス反応といいます。「途中で挫折してしまう」、「リバウンドをする行動をとる」のも、ストレス反応の結果ということができます。

■家計の節約と体のダイエットのストレスの原因は!?
節約やダイエットを始めるきっかけは、何でしょうか?

ダイエットの場合、理想の状態(体型・姿・容姿など)を思い浮かべて、そうなりたいと思って、ダイエットを始めることが多いでしょう。実は、その理想を持つこと自体がストレスの原因にもなるのです。「理想の状態になりたいという欲求」と「そうではない、現実の自分の状態」のギャップを感じ、欲求が満たされていないことから、ストレスになるのです。

では、理想を求めることは間違っているかというと、決してそうではありません。人は、理想の状態になりたいという欲求にしたがって行動し、理想の状態を獲得するのです。

家計の節約の場合は、どうでしょうか? ダイエットと同じように考えると、理想の家計の姿(収入・支出・資産など)を思い浮かべて、そうなりたいと思うから節約するのでしょうか? もちろん、具体的に理想の家計の姿を思い浮かべている人もいるでしょう。けれども、多くの人は、「将来が不安だから」、「節約しないといけないと思っているから」という漠然とした動機で節約を始める人が多いです。

ダイエットと異なり、家計の場合は、目に見えないものなので、理想の姿(家計)を思い描くことが難しいかもしれません。理想の家計の状態になりたいという欲求に従って、節約を行う場合と、理想の家計の姿を思い浮かべることができずに、ただ漫然と節約を続ける場合を比較すると、後者の方は、目標が見えずに際限なく、節約を続けることになり、ストレスに際限なく増えていく原因となります。したがって、家計の理想の姿をできるだけ思い描いて、目標を設定することが大切です。

■過度な目標設定が最大のストレス要因
ダイエットも運動のし過ぎは、逆効果!?

ダイエットも運動のし過ぎは、逆効果!?

理想の状態を手に入れるために目標を設定し、そうなりたいという欲求に従って行動することは、目標を達成するために大切です。つまり、適度なストレスは、欲求を満たすため行動を後押しするアクセルになると言えるでしょう。

けれども、たとえば、1週間で何10kg痩せるという過度な目標を設定すると、ストレスがより大きくなり、過度なアクセルを踏むことになり、暴走してしまうか、逆に自己防衛本能が働き、ブレーキを踏むことになります。

家計の節約も赤字の家計から、「1ヶ月○万円貯金をする!」のように、無理な目標を設定しても、途中で挫折してしまうか、仮に成功することができたとしても、長続きしないで、翌月から元の家計の支出に戻り、赤字が出てしまうことになるのです。したがって、無理なくできる範囲の節約目標を立てることが大切なのです。

■ストレスから解放され、欲求が満たされたと思うには?
家計の節約も体のダイエットも、理想の状態を追い求めて、その実現欲求に従って行動するのですが、その欲求が満たされたと思うのは、どんな時でしょうか? 人は、社会生活を送るうちに、「誰かから認められたい」という感情を持つようになります。このような感情の総称を「承認欲求」といいます。

理想の姿を追い求めダイエットをするのも、理想の家計像(幸せな人生を送っていると認められる生活をしている)を目指して節約するのも、承認欲求の一つの表れではないかと思います。承認欲求は、承認されたいと思う対象によって、「他者承認」と「自己承認」に分類されます。他人から認められていることを判断基準とするものを「他者承認」といい、理想と現実を比較して自分自身が満足しているかどうかを判断基準とするものを「自己承認」といいます。

ダイエットに成功して、他人から、「痩せて、きれいになったね」、「若返ったね」と他人から認められるとうれしい気持ちになり、欲求が満たされます。けれども、それに飽き足らず、「自分としては、もっと痩せた方がきれいに見えるはず」と思い、ダイエットが行き過ぎてしまう場合があります。つまり、自分で自分自身を認める「自己承認」は、難しいのです。

家計の節約の場合は、ダイエットと異なり、他人が自分の家計状況をうかがい知ることはできないので、「上手に節約できているね」、「理想的な生活を送っているね」というような他人から褒められるような「他者承認」は、なかなか難しいでしょう。また、「将来も含めて自分の生活はこのぐらいで良いから、今の家計状況に満足している」という、「自己承認」をすることも難しいといえます。このことから、今と将来の生活や家計に対する不安が漠然としていて、いつまでも消えない原因になっていると考えられます。

>>家計の節約と体のダイエットが長続きしないのは?

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