サルコペニア肥満を防ぐ食事のポイント
良質のタンパク質源である肉は、高齢者は控えめになりがちですが、不足しないように摂りましょう。
特に高齢者は、健康維持のための十分なたんぱく質を摂取できていないことが懸念されています。厚生労働省によるコホート調査では、たんぱく質摂取が少ないことは3年後の筋力の低下と関連していることが明らかにされています。
アミノ酸はたんぱく質を構成していますが、ロイシンというアミノ酸は、直接的に筋細胞に働きかけたんぱく質の合成を促すと考えられてます。同じ量のアミノ酸が血液中にあっても、ロイシンの感受性は、若い人よりも高齢者では低下していることが報告されています。
またタンパク質中にロイシンが少ない食事を摂っても、高齢者においては十分なタンパク質同化作用が得られず、そのような食事が長期間続くとサルコペニアにつながる可能性があります。
70歳を超えると、たんぱく質、特に肉類などの動物性たんぱく質の摂取量が低下する傾向が見られますから、自分の食事を見て極端に肉や魚を控えていることがないか、1日3食でたんぱく質を摂取するようにしましょう。
腎機能が低下した高齢者では、高タンパク食の摂取はリスクがありますので注意が必要ですが、日本人の食事摂取基準(2015年版)でたんぱく質の1日の推奨量は、男性(18~70歳以上)60g女性(18~70歳以上)50g、推定平均必要量は男性50g女性40gです(70歳上高齢者のたんぱく質の推定平均必要量は、0.85g/kg体重/日で成人の0.72g/kg体重/日よりも高い値を基に算出されている)。
また原料となるたんぱく質だけでなく、サポート役であるビタミンやミネラル、その他の栄養素も必要不可欠ですから、幅広い食品からバランスよく摂れるようにしましょう。
さらに高齢者の低栄養や吸収不良を防ぐためには、できるだけ口腔機能を維持することも関わっています。詳しくは、「歯・口の不健康があなたの寿命を縮める理由」もご参考になさってください。
筋肉をつくるためには、こうした栄養面への配慮と同時に運動も行うことが有効です。どちらも年をとってからではなく、若いうちから意識して実践したいものです。
■参考/
・高齢者(厚生労働省)
・サルコペニアの予防・改善(一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会)
・サルコペニアと介護予防(ネスレ栄養科学会議)
・e-wellnessシステムによる「サルコペニア肥満」の改善効果(つくばウェルネスリサーチ)
・日本老年医学会雑誌49巻6号(2012:11)
・サルコペニア予防における運動と栄養摂取の役割 (基礎老化研究 35(3);23-27.2011)
その他