浅草駅直結、松屋浅草店の地階にある「すし栄」支店
今回取り上げるすし栄は「銀座 すし栄」と、銀座の地名を冠する店ですが、現在銀座の本店が閉店している関係で、支店の「松屋浅草地階店」の紹介です。東武鉄道浅草駅に直結する百貨店・松屋浅草。もともと日本はもちろん、海外からの観光客の多い浅草エリアのターミナル駅ですが、スカイツリー開業後、さらに人があふれている状況ですね。
そんな松屋浅草の地下1階の食品フロア「浅草ごちそう横丁」に、すし栄の松屋浅草地階店があります。メインはすし類のテイクアウトに見えますが、奥にしっかりとイートインスペースがあります。すし栄のほか、同横丁には紀文や崎陽軒、大黒屋や中華の維新號など、老舗店が数多く揃っています。
創業は1848年(嘉永元年)
すし栄には他店にはない(マネできない)キャッチフレーズがあります。店内やホームページでも謳われていますが、“現存する最古の江戸前寿司処”です。そう、江戸前のいわゆる“にぎりずし店”として営業を続けている最古参という存在、それがこちらの店ということになります。すし栄は、初代の倉田屋栄蔵が1848年、神田エリアに「すしや栄蔵」を開いたのがスタートです。その後3代目が銀座・数寄屋橋に店を移し、戦後に銀座7丁目へと移転しています(現在、銀座本店は閉店中)。そんなすし栄が創業した1848年とは、どんな時代背景だったのでしょうか……。
1839年の蛮社の獄を受け、開国か否かの論議が日本中を覆う中、開国を唱える高野長英が弾圧を受け死去したのが1850年のこと。しかし、その3年後にペリーによる“黒船来航”があり、時代が大きく動き始めます。ヨーロッパではまさに1848年の革命により、それまでのウィーン体制が崩壊、自由主義や国民主義の機運を抑圧できなくなるなど、これまた時代が大きく動くことになります。そんな歴史の転換点の最中、すし栄もその歩みを始めています。
では、百貨店の地階で営業を続ける老舗すしの支店へと参りましょう。