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あなたは「2.5次元舞台」を知っていますか?

今や日本のエンターテインメント界で無視する事が出来ない存在となった「2.5次元舞台」。なぜこのジャンルの作品が大きな注目を集め、その市場規模を大きく伸ばしているのか。演劇ガイドがその秘密を解説します!

上村 由紀子

執筆者:上村 由紀子

演劇ガイド

演劇界のみならず、今や日本のエンターテインメント界で”台風の目”ともなっている「2.5次元舞台」。なんとなくその存在は知っていても、実際にどういうものなのかは良く分からない……そんなアタナのために、今回は10代、20代からも熱い支持を受ける「2.5次元舞台」についてプチ解説していきましょう。


そもそも「2.5次元舞台」ってどんな作品?

「2.5次元舞台」を簡単に表現すると”漫画やアニメなど二次元の作品を舞台化したもの”。古くは1970年代に宝塚歌劇団が上演した『ベルサイユのばら』が挙げられ、90年代には『美少女戦士セーラームーン』や『聖闘士星矢』なども製作されています。ただ、この時代の作品に関して「2.5次元舞台」という言葉が使われるようになったのはここ最近の後付けで、当時は漫画原作の舞台という位置付け。そんな中、2003年に「2.5次元舞台」の超代表作とも言えるスーパーコンテンツがエンタメ界に登場します。


『テニスの王子様』がすべてを変えた

そのスーパーコンテンツとは2003年に初演されたミュージカル『テニスの王子様』。週刊少年ジャンプ連載の人気漫画を舞台化した本作は、声優としても著名な三ツ矢雄二氏が脚本と作詞を、劇団四季での俳優活動を経て、演出家・振り付け師として活躍する上島雪夫氏が演出を担当。

少年スポーツ漫画の舞台化、キャストは男性のみという当時としては異色の舞台で、池袋の東京芸術劇場で開幕した当初は客席も3分の1程度しか埋まらず、関係者が頭を抱えていた所、口コミで若い世代を中心に評判が広まり千秋楽には立ち見も出る事態に。このテニミュこと『テニスの王子様』の成功が「2.5次元舞台」の拡大を加速させていきます。

ちなみに『テニスの王子様』出身の俳優は、城田優、斉藤工、瀬戸康史、加藤和樹、馬場徹など、舞台以外でも活躍するメンバーが多数。舞台をメインに活動する俳優と併せるとかなりの数になり、芸能界全体で見てもテニミュ出演は若手俳優の一つの登竜門となっているのです。


2.5次元舞台
年間の観客動員数は120万人超え

「2.5次元舞台」全体でみると、2014年で観客128万人を動員(ぴあ総研調べ)、同年には「一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会」も設立。渋谷にある劇場「アイア2.5シアタートーキョー」では2.5次元系舞台の上演や関連イベントが目白押しで、連日大勢の若い観客で盛り上がっています。

ここ最近で話題になった「2.5次元舞台」をざっと挙げてみると、3rdシーズンに入った『テニスの王子様』、自転車のハンドル部分だけを使い競技の様子を具現化した『弱虫ペダル』、ブロードウェイで活躍する作曲家に音楽を依頼し、2.5次元ファン以外の観客も取り込んだ『デスノート The Musical』、海外からも多くの観客が押し寄せた『NARUTO-ナルト-』、ゲームが原作の『刀剣乱舞』『戦国BASARA』など本当に盛り沢山。歌舞伎として上演された『ワンピース』もその一種と言えるかもしれません。

ではなぜ『テニスの王子様』初演から12年で、2.5次元作品はここまで観客数を増やし、エンタメ界に大きな波を起こすジャンルへと成長したのでしょうか。

次のページではその理由を分析します!

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