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あなたは「2.5次元舞台」を知っていますか?(2ページ目)

今や日本のエンターテインメント界で無視する事が出来ない存在となった「2.5次元舞台」。なぜこのジャンルの作品が大きな注目を集め、その市場規模を大きく伸ばしているのか。演劇ガイドがその秘密を解説します!

上村 由紀子

執筆者:上村 由紀子

演劇ガイド

「2.5次元舞台」が支持される理由

「2.5次元舞台」が、日本のエンターテインメント業界で大きく観客数を伸ばし、多くの人に認知されるようになった理由をいくつか挙げていきましょう。

原作ファンとキャストファンの両方を呼び込める
多くの作品で製作サイドが最も大切にしている事の一つが「キャラクターと演者の融合」。原作漫画やアニメ、ゲームのキャラクターを演じる俳優は、そのキャラクターと自らのビジュアルとをとことん近づけて舞台に立ちます。

これにより、原作ファンは舞台を観て失望することなく作品の世界観に身を浸せ、俳優ファンは贔屓の新たな一面を舞台で堪能できるという仕組み。

若年層も購入しやすいチケット料金
「2.5次元舞台」の多くのチケット代は劇団四季や東宝作品、または客席数7~800前後の演劇と比べても低めに設定されることが多く、10代や20代の若い観客にも購入しやすい価格になっています(5000円台くらいから1万円以下のものが大半)。

◆俳優を「見つけて」「育てて」「応援する」システム

元々原作が漫画やアニメ、ゲームといった馴染み深いものである「2.5次元舞台」。その敷居の低さに加えて、出演するのはこれから大舞台を目指していく若い俳優たち。観客はその中からこれぞ!と思うキャストをピックアップし、応援していきます。この流れは”会いに行けるアイドル”としてプロモーションを続けているAKB48に近いところがあるかもしれません。


「2.5次元舞台」がエンタメ業界に起こした波

……と、ここまでで鋭い方はお気づきかと思いますが「2.5次元舞台」にはこれまでの「演劇」や「ミュージカル」と大きな違いがあります。それは”敷居の低さ”と”圧倒的に若年層の観客が多い”という点。

まだまだ「演劇を観る」「劇場に行く」という行動に、なんとなく難しさや敷居の高さを感じる層も多い中、まるでライブやイベントに参加するようなモードで観に行けて、チケット代もさほど高額ではない「2.5次元舞台」は、多くの若い観客を劇場に呼び込みました。そしてその観客たちはSNSで口コミ情報を拡げ、質が高く面白い舞台はあっという間に話題になってチケットは即完売するのです。

更に海外からの観客の増大や関連グッズの売上額もうなぎ上りとなっている本ジャンル。個人的には素晴らしいクオリティの作品もあれば、まだ途上だと感じる舞台もあって、一概に推すことは出来ないのですが、少なくとも「演劇=暗い、ダサい、難しい」という概念を軽々と壊し、若い世代の観客の足を劇場に向けた功績はとてつもなく大きいと思います。

従来の演劇から一歩踏み出したところで展開し、若年層や海外からの観客の取り込みでも大きな成果を上げている「2.5次元舞台」。今後もエンターテインメント業界の台風の目として発展を続けていきそうです。
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