公認会計士試験/公認会計士とは

公認会計士の活躍フィールドの一つ「事業再生」業務(2ページ目)

公認会計士には、単に監査業務に限らず、社会の様々な場面で会計専門家としての知識・経験・判断力を活かした業務への対応が求められています。今回は、公認会計士の活躍フィールドのひとつである「事業再生」業務について解説します。

日根野 健

執筆者:日根野 健

公認会計士ガイド

求められるのは、コミュニケーション能力!

財務DDと事業DDと並行して進むのが「経営改善計画の策定」です。将来の会社のあるべき姿を経営者と一緒になって考え、具体的な計画に落とし込んでいきます。

会社のあるべき姿を考えたときに、単に銀行からの借入金の返済をリスケジュールするだけでそれが実現できるのか、あるいは、リスケジュールだけでは資金繰りがもたず実現できないのかによって、講じる策にも違いが出てきます。リスケジュールだけで対応しきれないときには、M&Aや事業譲渡の方向に進むこともあります。
このような将来の方向性については、経営者と十分に議論を積み重ねていきます。

ところで、公認会計士は、コミュニケーション能力に欠ける人が意外に多いと言われることがあります。確かに、公認会計士試験に受かればまず監査法人に入所して監査を経験し、数値を扱うことが得意になりますから、経営者とコミュニケーションをとるよりも数値を分析している方が好きという人もいます。

事業再生でもっとも大切なことは、経営者との議論(コミュニケーション)を通じて、経営者との間に大きな信頼関係を構築することです。
監査業務は対象が上場企業であり、経理担当者や管理担当役員であり、難しい用語を使っても分かってもらえます。

しかし、事業再生業務の対象会社は主に中小企業であり、相手にするのは経理の知識もあまり持っていない経営者であることが多いです。ですから、簡単で分かりやすく説明しないと理解してもらえないことが多いのです。専門的なことをかみ砕いて説明することで、経営者とのコミュニケーションが円滑化し、信頼関係の構築につながります。

また、コミュニケーション相手は、経営者だけに限らず、銀行などの金融機関を相手にすることもあります。

そのため、事業再生を行う公認会計士には、極めて高度なコミュニケーション能力が必要とされるのです!

監査以上に総合的な能力が求められる事業再生業務。一度、チャレンジしてみてください。

【図3undefinedコミュニケーション能力】

         【図3 コミュニケーション能力】



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