食と健康/旬・季節の食事の食べ方・レシピ

中毒症状はなぜ起こる? ギンナンの栄養成分と注意点(2ページ目)

ギンナンがお料理に入ると、秋らしい風情が漂います。古くから滋養に良いと伝えられる一方、一度に食べ過ぎると中毒になることも知られています。ギンナンに含まれる成分や、中毒にならないための注意点をご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

中毒はなぜ起きる?  吐かすのも危険

健康,中毒,ギンナン,ぎんなん,銀杏,けいれん,こども

秋の実りの一つギンナンは、おいしいけれど、一度にたくさん食べすぎないように気をつけましょう。

ギンナンの食べ過ぎによる中毒は、何が原因で起こるのかは長年わかっていませんでした。しかし近年になり「4-O-メチルピリドキシン」が中毒物質であることがわかっています(北海道医療大学の研究)。

4-O-メチルピリドキシンは構造が、ビタミンB6に似ており、ビタミンB6の作用を阻害し欠乏させてしまうのです。

グルタミン酸はビタミンB6によって、神経を抑制する作用のあるGABAという神経伝達物質を合成しますが、4-O-メチルピリドキシンによってこれが不足するため、痙攣などの症状につながるのではないかと考えられています。

ではどれくらいの量なら食べてもよいのでしょうか。

大人の場合は、多くの場合には数十個単位で大量に銀杏を食べないと中毒にはなりません。子どもの場合も1粒や2粒を口に入れたからといって心配はありません。

中毒の報告について、消費者庁ではこどもが5~6個程度で中毒を起こした例があるとしています。中毒症状は摂取後1~12時間で発症し、主に嘔吐、痙攣(繰り返す発作)、めまい、顔面蒼白、発熱、意識混濁、呼吸困難等です。

4-O-メチルピリドキシの性質は熱に安定しており、煮たり焼いたりなどの調理加熱しても消失しません。中毒症状を起こした場合には、吐かすとけいれんを誘発するので、なるべく吐かせないようにして病院での対処療法を受けるよう勧告しています。

また国立健康・栄養研究所の「健康食品の安全性・有効性情報」では、注意事項として「ウルシ科の植物(マンゴー、カシューナッツも含む)にアレルギーのある人は、ギンナンに対してもアレルギーである可能性が高い」と示しています。意外な食品がアレルゲンとなるケースがありますから、気をつけましょう。

お子さんに食べさせるのは控えつつ、成人の場合は常識的な範囲で食べる分には心配がないので、秋の実りを食卓で楽しみましょう。


■参考/
・銀杏中毒について(農研機構)
・イチョウ葉エキスの薬理活性(千葉科学大学紀要5.61-67.2012)
・銀杏中毒について(農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究)
・ギンナン 食品衛生の窓東京都福祉保健局
・イチョウ葉食品の安全性(国民生活センター)
・イチョウ(健康食品の安全性・有効性情報)
・銀杏(ぎんなん)の食べ過ぎに気をつけて(Vol.59こども安全メールfrom消費者庁)
・その他

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます