土地活用のノウハウ/入居者ニーズとマーケティング

空前の空き家時代に備えた賃貸住宅経営に必要なこと(2ページ目)

少子高齢化に伴い、今後、住宅の需要は低下することが予想されます。その一方で賃貸住宅は順調に着工されており、需要と供給のギャップにより、空き家数は飛躍的に増加することが予測されています。空前の空き家時代に備えた賃貸住宅経営を行うために、必要な考え方について解説します。

谷崎 憲一

執筆者:谷崎 憲一

土地活用ガイド

空前の空き家時代に備えた賃貸住宅経営を行うために必要なこと

まず、対策を考えるには、調査・分析から始まります。私達が健康診断をする時に人間ドックに入るように、賃貸住宅経営の対策を考えるには、いま一度、皆様の不動産を見直す必要がありますが、見方として注意点が二つあります。
一つ目は資産の観点で、不動産だけでなく、預金、株式、債券、生命保険などお持ちの資産全体の組み合わせ、すなわちポートフォリオの観点から資産を見る目線が必要となります。
それによって自分の将来設計・生活設計について、ファイナンシャルプランニングを考えながら資産構成のあるべき姿を考え、もう一度見つめ直すことが大事です。
二つ目は、ご自分の土地活用の対象となっている不動産の診断です。
資産全体のポートフォリオに加え、個別不動産について、個別診断をすることです。
次に、調査・分析の結果、見えてくるのが対策案です。
人間ドックの診断結果を受けて、投薬療法なのか、手術なのか、長期入院なのか、それとも様子見なのか、そういった対策を考える必要があるのと同じように、賃貸住宅経営への対策を考えます。
その際、重要なのはご自分の賃貸物件について、ズームアウト・ズームインという両方の視点から見ることです。
ズームアウトとは、個別の対象物件から離れて、一歩引いたところから全体的視点から見ることで、地域全体のマーケティング、競合沿線の賃料相場・人口動態・トレンド、ロケーション等を考えることです。
ズームインとは、個別の対象物件に近付いて詳しく見ることで、建物外観の第一印象、郵便ポスト、ゴミ置き場、日常清掃、インターネット上の募集状況等の詳細を見ることです。
ズームアウトとズームインとの両方の視点を意識した調査・分析があって、考えられるのが本格的な対策になります。
対策にあたってのキーワードは、多面的なものの見方が必要だということです。
最終的な対策案として、入居者ニーズのさまざまなトレンドから、付加価値として新しい設備の導入、リフォーム、リノベーション、ペット共生型住宅などの差別化について、費用対効果を考えながら検討してゆくことになるのです。
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