空き家は過去最高の820万戸、空き家率は13.5%
空き家は過去最高の820万戸
賃貸住宅について見てみますと、総住宅数2,281万戸のうち空き家は429万戸、空き家率は18.8%とやはり過去最高となっています。
10年前の17.6%、5年前の18.7%と比較しても、徐々に悪化してきていることが統計データからみてとれます。
これは少子高齢化という日本の社会構造上の問題ですので、この流れが長期化していくことは当然であると考えられます。
今後、100年かけて100年前の水準まで人口が減っていきますので、出生率が上がらない限り、住宅が余っていきます。
住宅が余るということは、より優位性の高い物件が生き残り、相対的に優位性の低い物件が余っていくことを意味しています。
賃貸住宅経営で言えば、優位性の高い物件は満室経営ができ、低い物件が空室になり、ある意味で負け組ということになるでしょう。
将来的には空き家が2,146万戸となる予測も
平成27年6月、野村総合研究所から、将来の空き家の見通しが発表されました。それによりますと、総世帯数が27年の5,290万から、15年後の42年には5,123万に減少する結果、45年には総住宅数7,106万戸、空き家が2,146万戸、空き家率が何と30.2%と見込まれる、というものです。
現在の空き家820万戸でも驚異だと思われますが、なんと2.6倍にまで増加し、10軒に3軒が空き家になるという見通しです。賃貸住宅については、さらに深刻な予測も考えられます。
「新設住宅着工戸数」は減少しているものの、「貸家」だけは横ばいに推移
平成26年4月からの消費税引上げに備え、新築住宅の駆け込み需要が生まれました。その反動で、26年度「新設住宅着工戸数」は、88万戸となり10.8%も減少しましたが、貸家着工だけは、358,000戸でわずか3.1%の減少に過ぎませんでした。
ほぼ横ばいの供給が続き、引き続き貸家の供給過剰が続いていると言えます。
その理由ですが、首都圏を中心とした貸家需要が旺盛であったこと、27年1月から引き上げられた相続税への対策として土地活用が有効であると周知されたことです。
特に、地価の高い首都圏では、土地活用で相続税対策を行うことの有効性が高いため、その結果として土地活用、賃貸住宅の供給につながったということです。
「賃貸積極派」は増加傾向
今年6月、「平成27年版 土地白書」が発表されました。その中の「土地問題に関する意識調査」で、「土地は預貯金や株式などと比べて有利な資産か」との質問に対し、「そう思う」との回答は史上最低の30.3%となり、バブル崩壊直後の61.8%の半分以下で、土地を有利な資産だと思う人達が大幅に減少しています。
逆に、土地を有利な資産であると「思わない」は40.1%となり、バブル崩壊直後の21.3%の2倍近くになり、土地神話が崩壊し、持ち家が有利であるという考え方に対して否定派がはっきりと表れてきています。
一方、賃貸住宅経営の立場から見たときに、お客様である入居者さんがどのような意識をお持ちであるか考えることは重要です。
アットホームの「一生賃貸派と持ち家派の意識調査」では、一生賃貸派の理由 の第1位は「住み替えやすい」、第2位は「災害やローン等のリスクが少ない」となっています。
直接的には、阪神淡路大震災・東日本大震災等をきっかけとして、将来に対する不安感から賃貸派が台頭してきたものです。
しかし、大震災の影響だけでなく、それ以前からそのような傾向が出てきていて、長期の構造不況を原因として、生涯働き続けることができるかどうか不安感が生まれているのです。
その結果、土地神話が崩壊してしまい、以前は土地を持つことに対して将来性を感じていた人達の比率が、平成5年から現在までに半減し、逆に土地を有利な資産であると思わない人達の比率が倍増しているのです。