100年店ランチ/東京の100年店ランチ

笹乃雪(豆富料理/根岸/創業1691年)(2ページ目)

名物のあんかけ豆富は2つずつ提供……今回は東京屈指の老舗飲食店、台東区根岸の豆富料理店「笹乃雪」をご案内します。

菅野 夕霧

執筆者:菅野 夕霧

100年店ランチガイド


ランチメニュー「鶯御膳」は平日限定

「鶯御膳」は平日の昼のみの提供

「鶯御膳」は平日の昼のみの提供

この日は昼休みを少し避けるかたちで13時ちょっと前に1人で伺います。入店しようとすると、店員の方がタイミングよく扉を開いてくれ、靴を預かってくれます。いわゆる下足係の方がいらっしゃる店です。自然とこちらの背筋も伸びますね。

店に上がると、右手の客室に通されます。2人掛けのテーブルが多数並ぶこの部屋は、外光が入る大きな窓があり、庭が見えて気持ちのいい和の空間。個室は予約が必要ですが、こちらの部屋は予約なしでいつでも利用が可能です。オーダーしたのは、平日(火曜~金曜)の11時30分から14時まで提供している「鶯御膳」(2,200円)。ランチを手軽に楽しめる人気メニューです。

しばらくすると、6つの小皿料理が1つお盆で運ばれてきます。内容は「小付」「笹乃雪 冷奴」「あんかけ豆富(=2つ)」「胡麻豆富」「飛龍頭」。あんかけ豆富は同じものが2つ提供されるのは笹乃雪の特徴です。その理由は、既出の上野の宮様がこのあんかけ豆富を大変気に入り、「今後二椀ずつ持ってくるように」と言われたことが始まりで、以後同店の慣わしとなっています。

すべて豆富をベースとする品々ながら、一つ一つしっかりと違いを主張するあたり……さすがです。あんかけ豆富は確かに1つではなく、もう1つ欲しくなる逸品ですね。

「うずみ豆富(お茶漬け)」

「うずみ豆富(お茶漬け)」

そして締めには、「うずみ豆富(お茶漬け)」が登場。ご飯の上に豆富のほか、シイタケやわらびが細かく刻まれ、和風出汁がかけられた見た目にもカラダにも優しい一品です。一見ボリュームある御膳ですが、メインが豆富なのでどこかヘルシーさを感じますね。最後に甘味をいただきながら、次回は1つ上の価格帯の「朝顔御膳」(2,800円)かな?などと早くも再訪問を決めていました。

ゆっくり一品ずつ楽しめる「朝顔御膳」

「生盛膾(いけもりなます)」

「生盛膾(いけもりなます)」

別日、今度は友人と2人で土曜日の訪問です。時間は開店の11時30分。2組目と客として、前回同様の部屋へと通されます。窓際の席に腰を落ち着け、予定通り「朝顔御膳」(2,800円)をオーダー。しかし次々と客が入ってきます。12時前にはいっぱいになってしまうのでしょうか。わたしたちもそうですが、他の方々も訪問日時をしっかり定めて来ているような印象ですね。

さて、鶯御膳とはどう違うのか……などと思っていたら、まずは「生盛膾(いけもりなます)」と「笹乃雪 冷奴」が運ばれてきます。赤い大皿に具材が配置された生盛膾……スタートから大きく違いますね。こちらは具を全部よく混ぜて“白和え”にしてください、と店員の方のお言葉。2人とも(こうであろうと思う方法で)具材を箸で中央に寄せて、混ぜ混ぜしてみます。それっぽくなり、同時に一口いただきます……うん、OKというアイコンタクトを。作り立ての白和えをいただけるこちらも、よく考えられた一品ですね。

「雲水(湯葉巻き 豆乳蒸し)」

「雲水(湯葉巻き 豆乳蒸し)」

食べ終わりを見計らったように、あの「あんかけ豆富」がお約束通り2つ登場。以後、「胡麻豆腐」「雲水(湯葉巻き 豆乳蒸し)」と続きます。

鶯御膳は一度に運ばれてきましたが、朝顔御膳は少しずつ提供されるコース料理です。締めは鶯御膳同様に「うずみ豆富(お茶漬け)」。そして「豆富アイスクリーム」でフィニッシュを。

やはり休日はこういったかたちで、一品一品をゆっくり楽しみながら、そしてゆっくり会話をしながらのコース料理がいいですね。

同店の豆富は井戸水とにがりを使用する昔ながらの製法

同店の豆富は井戸水とにがりを使用する昔ながらの製法

素材や見た目、食感や味付けなど、まさに老若男女を問わず万人受けする内容で、同店が支持され続けてきたことが感じられます。地方から出てきた親などを連れてきてあげたい……ふとそんな思いにかられました。江戸時代から300年以上愛される豆富料理店で、ランチはいかがでしょうか?

■笹乃雪
・住所:東京都台東区根岸2-15-10
・TEL:03-3873-1145
・営業時間:11:30~20:00(ラストオーダー)
・定休日:月曜(月曜祭日の場合は火曜)
・地図:Yahoo! 地図情報
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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