ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

気になる新星インタビューvol.14 中河内雅貴(2ページ目)

切れ味鋭いダンスと、少年から悪党まで演じわける“振り幅の大きさ”を武器に活躍中の、中河内雅貴さん。作家スコット・フィッツジェラルドと妻の愛憎を描く『スコット&ゼルダ』では、日本版オリジナルの難役に挑戦中です。「すごく面白くなりそう」という、本作の仕掛けとは? “初心貫徹”のその半生とともに伺いました。*観劇レポートをUPしました!*

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド


若く純粋なカップルが辿る愛の悲劇を
「20年代の象徴」として包み込む


『スコット&ゼルダ』

『スコット&ゼルダ』

――そうした作品の中で、中河内さんは“象徴”という抽象的なお役を担当されるのですね。

「僕もまだ今の段階では掴み切れてません(笑)。鈴木さんが例えに出されたのは、ある意味『エリザベート』のトート的な、実は時代の中心にずっと居て、その渦を作っているような存在なのだそうです。でもスコットとゼルダを直接出合わせたり、破滅させたりということをやっているわけではないんです」

――ある意味、中河内さんご自身が宇宙空間のような感じ?

「そう、宇宙空間ですね。この作品の中心人物はスコットとゼルダ、そしてゼルダをインタビューするベンだけど、彼ら全体を包んでいるのが僕なんですよ。ただ居るだけではダメだと思うので、これからどんどん(あり方を)鈴木さんとディスカッションして深めていきたいですね」
製作発表にて。右から演出の鈴木裕美さん、山西惇さん、濱田めぐみさん、ウエンツ瑛士さん、中河内雅貴さん(C)Marino Matsushima

製作発表にて。右から演出の鈴木裕美さん、山西惇さん、ウエンツ瑛士さん、濱田めぐみさん、中河内雅貴さん (C)Marino Matsushima

――“宇宙空間”と聞くと一瞬、大御所の方をイメージしてしまいがちですが、そこを敢えて若手の中河内さんが演じるのがポイントですね。

「スコットたちが若くてエネルギッシュだった時代を象徴するということで、若い人間のほうがいいと鈴木さんはお考えになったのかもしれません。なおかつ、表現方法としてショー・シーンを多用するということで、僕ということになったのかな。

でも、実は僕が演じるのはこの“20年代の象徴”だけではなくて、パーティーの主催者であったり医師であったり、ストーリーの中の役もいくつも演じるんです。“象徴”になったり特定の人物になったりと、けっこう忙しくて、特に1幕は出ずっぱりですね。自分の中の課題としては、この作品において必要とされているところをちゃんと見出したいです。なかなか今回のような抽象的な役をいただくことはなくて、とても難しいんですが、ちゃんと存在感であったり、台詞の無い部分で居方を深めていったら面白くなるだろうなと感じています」

*次頁で中河内さんの「これまで」をうかがいます。高校受験勉強の励みにと、お母様が何気なく勧めたダンス講習。これが雅貴少年の人生を大きく変えることに!
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