若く純粋なカップルが辿る愛の悲劇を
「20年代の象徴」として包み込む
『スコット&ゼルダ』
「僕もまだ今の段階では掴み切れてません(笑)。鈴木さんが例えに出されたのは、ある意味『エリザベート』のトート的な、実は時代の中心にずっと居て、その渦を作っているような存在なのだそうです。でもスコットとゼルダを直接出合わせたり、破滅させたりということをやっているわけではないんです」
――ある意味、中河内さんご自身が宇宙空間のような感じ?
「そう、宇宙空間ですね。この作品の中心人物はスコットとゼルダ、そしてゼルダをインタビューするベンだけど、彼ら全体を包んでいるのが僕なんですよ。ただ居るだけではダメだと思うので、これからどんどん(あり方を)鈴木さんとディスカッションして深めていきたいですね」
製作発表にて。右から演出の鈴木裕美さん、山西惇さん、ウエンツ瑛士さん、濱田めぐみさん、中河内雅貴さん (C)Marino Matsushima
「スコットたちが若くてエネルギッシュだった時代を象徴するということで、若い人間のほうがいいと鈴木さんはお考えになったのかもしれません。なおかつ、表現方法としてショー・シーンを多用するということで、僕ということになったのかな。
でも、実は僕が演じるのはこの“20年代の象徴”だけではなくて、パーティーの主催者であったり医師であったり、ストーリーの中の役もいくつも演じるんです。“象徴”になったり特定の人物になったりと、けっこう忙しくて、特に1幕は出ずっぱりですね。自分の中の課題としては、この作品において必要とされているところをちゃんと見出したいです。なかなか今回のような抽象的な役をいただくことはなくて、とても難しいんですが、ちゃんと存在感であったり、台詞の無い部分で居方を深めていったら面白くなるだろうなと感じています」
*次頁で中河内さんの「これまで」をうかがいます。高校受験勉強の励みにと、お母様が何気なく勧めたダンス講習。これが雅貴少年の人生を大きく変えることに!