パフォーマンスを封印し、勝てるチーム作りに専念
監督になることが夢だったラミレス氏は、喜びを隠し切れなかった。
「選手としてDeNAに来た時に、多くの若い選手、能力のある選手とプレーした。もう一度ここに戻ってくることができ、キャリアを再スタートすることは、まさに夢が叶った」
ずっと“主役”を張ってきた。インディアンス、パイレーツを経て、2001年にヤクルトのユニホームを着て、巨人、DeNAと渡り歩いた13年間で、首位打者1回、本塁打王2回、打点王を4回獲得。2013年に外国人初の通算2000安打も達成した。「アイ~ン」、「ゲッツ」など芸人のパフォーマンスでも人気を集めた。
それが、DeNA退団後、BCリーグ群馬で選手兼打撃コーチ、今季途中からオリックスの巡回アドバイザーと指導者の道を歩み始め、念願のNPB球団での監督に就任すると、心境に変化。「現役時代は多くのファンを喜ばせてきた、監督になった今は筒香、梶谷ら選手にお願いしたい」と自身のパフォーマンスは封印し、勝てるチーム作りに専念することを誓った。
外国人監督史上、もっとも日本の野球を熟知するラミレス氏
日本プロ野球での外国人監督は、与那嶺要(中日)を始め、ルーツ(広島)、ブレイザー(阪神、南海)、バレンタイン(ロッテ)、ヒルマン(日本ハム)、レオン(オリックス)、ブラウン(広島、楽天)、コリンズ(オリックス)らがいたが、ラミレス氏ほど日本の野球を熟知している人間はいない。しかも、データ重視、研究熱心、頭脳的プレースタイルで有名だった。選手を細かい点から改善していける力を持っていることも評価されての招へいである。DeNAは中畑監督が指揮を執った4年間、6位、5位、5位、6位とAクラス入りはなかったものの、今季は前半戦を首位でターン。主催71試合の観客動員も昨季の156万4528人から181万3800人と増加し、大入り回数は20回増の43回、チケット完売数は12回増の22回と球団最多となった。明らかに上げ潮ムードで、しかも、中畑前監督に負けないくらいの明るさを持つラミレス氏なだけに観客動員も右肩上がりが期待できる。
2年契約で年俸は7000万円、背番号は「80」に決まったラミレス氏。「たくさん本塁打を打てる選手よりも、走れる選手が多い。いいバランスを保ってチーム作りをしたい。筒香に期待している。梶谷もリーグを代表する選手になりつつある。この2人を軸にしてまとめていけたらと思う」と抱負を語った後、「これからはラミちゃん監督、監督ラミちゃんと呼んでください」と茶目っ気も忘れない。
監督としては未知数だが、人間的な魅力を持つラミレス氏なだけに、ファンに愛されるチームを作ってくれそうだ。