9回打者27人をパーフェクトに抑えた西武・西口が10回表に記録を阻まれた理由とは?

8/27西武×楽天戦、先発は西口×一場


8月27日のインボイス西武ドーム、西武×楽天戦をTV観戦していた。数多あるプロ野球中継の中からこの試合を選んで見ていたのは、楽天・一場の先発初勝利なるかという興味と、にわかに激化するオリックスと西武の3着争いを見たかったからだ。

ところがこの試合の主役は、西武先発の西口だった。5回ぐらいから完全試合のムードが漂ってきており、私は「いける」と踏んでいた。いや、これは単に私のジンクスの問題である。球場観戦する場合は珍記録(最多四死球試合、三重殺、三外国人連続ホームラン、その他)が多く、TV観戦の場合はまっとうな記録試合を見るというのが通例だからだ。

完全試合という話ならば、94年に巨人の槙原が広島相手に達成したゲームをTVで見ているし、その槙原がバース・掛布・岡田にバックスクリーン三連弾を打ち込まれたのも見た。そしてこの日も記録が出そうな予感が漂っていた。

完全試合の確率


というわけで、完全試合の確率計算などをしながら、この日の西口が淡々と完全試合に近づく様を眺めていた。ちなみに完全試合が達成される確率だが、打者全員の出塁率を3割とすると、打者27人なのでアウト率0.7の27乗になる。出塁率が2割ならば、アウト率0.8の27乗。前者は約15,000分の1、後者は約4,000分の1。プロ野球の年間試合数を800とすると、5年~20年に1回という計算だ。

日本プロ野球における実際の完全試合達成者は、1950年の藤本英雄を筆頭に15人。平均して3~4年に一人だから、上の確率計算よりもいいことになる。ただし近年は94年の槙原以来、達成者はいない。そして槙原の前に遡れば、78年の今井雄太郎(阪急)と16年も間が空いている。打者の技術が向上した最近では、10年に一度ぐらいの記録と認識しておくのがいいのでは、ということだ(ただしメジャーでは90年代に4回達成されていて、最新では2004年にランディ・ジョンソンが達成した)。

西口の「悲運」


そうこうするうちに試合は進む。妙なもので、審判のストライクゾーンが伸び縮みする。最初は両サイドに辛かった主審だが、回が進むにつれて両サイドが甘くなり、しまいには西口の投げている時だけゾーンが甘くなった。そして試合は終盤を迎える。西口は相変わらず一人のランナーも出さないが、西武打線も一場を打てず、点が取れない。

9回表、楽天の攻撃。これまで西口は9回2死まで抑えながら、最後のバッターに打たれてノーヒットノーランを逃したことが二度ある。今年5月13日の対巨人戦もそうだった。9回表2アウトで迎えたバッターの清水にライトスタンドへソロホームランを運ばれたのだ。しかし今回はパーフェクトなので、楽天最後のバッターは9番藤井である。西口は藤井をショートゴロに打ち取り、9回打者27人をパーフェクトで抑える。

ところが、まだ「完全試合」ではない。西武もまだ無得点なので、試合が終わらないからだ。私は先の自分のジンクスから、9回裏に西武サヨナラですんなり決まるものだとなんとなく思っていた。そして9回裏、西武は2アウトから高木浩ヒット、栗山四球で1・2塁と一打サヨナラのチャンスを迎える。しかし楽天先発の一場は、続く2番赤田をショートゴロに打ち取り、チェンジだ。試合は延長戦に突入する。

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