ハンデを克服して甲子園で活躍する滋賀学園・井川翔二塁手

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メジャーリーグはもちろん、日本のプロ野球でもサングラスを使用する選手は多い。主な理由は太陽光による捕球の妨げを防ぐため。夏場が必需品になることは間違いないが、外野手にしてみれば、スタンドが白一色(服装が白色が多いため)に見えることにより、「ボールが一瞬消える」。そのためにもサングラスは手放せないのだ。

3月20日から始まった第88回選抜高等学校野球大会でもサングラスをかけた選手が出場した。大会初日の第3試合に登場した初出場の滋賀学園・井川翔二塁手(3年)である。もちろん、甲子園での使用許可を得ての着用だ。

それは、高校1年の秋のことだった。まばたきが増えたり、激しい頭痛、肩こりや急な眠気に襲われたりする症状に悩まされ始めた。授業や練習に集中できず、「視力は左右とも1.5ですが、目がチカチカしたり、前が見えなくなるくらい気分が悪くなり、日常生活もまともに送れませんでした」という。病院でも原因は特定できず、目に入った光や砂がアレルギー症状につながっている可能性を指摘され、日常生活からサングラスを使うようになった。

「メガネをかけたこともなかったので、距離感がわかりにくかったです。打球のイレギュラーは今でも怖いです」

当初は視界の変化に慣れていなかったため、スライディングで頭をベースにぶつけたこともあったという。原因不明の症状と闘いながら得意の守備を磨き、2年生になったら守備位置の指示を出す役割を任され、攻撃では2番打者に指名され“つなぎ役”としてチームに貢献してきた。

「これまで苦しかったですが、憧れの場所で野球ができるだけで嬉しいです」

20日に行われた桐生第一との一回戦、井川は2番二塁で先発出場、二回に右前タイムリーを放つなど4打数2安打2打点と活躍して、チームの甲子園初勝利に貢献した。

「自分の結果はどうでもいいです。チームのために働ければ100点です」


プロ野球、メジャーリーグにも少なくないハンデを克服した選手

ハンデを克服している選手は少なくない。中日―横浜―日本ハムと渡り歩いた左腕リリーバー・石井裕也投手は先天性難聴で左耳は全く聞こえない。その日本ハムの監督を務める栗山英樹氏は現役時代、メニエール病に悩まされた。メジャーでは先天性右手欠損ながらノーヒットノーランまで達成したジム・アボット投手(元エンゼルス、ヤンキース)が有名だ。そのアボットは次の言葉を残している。

「不可能は神が決める。しかし、人間の意志は不可能を可能にする」

決して大げさではなく、不可能を可能にした井川は、甲子園を楽しむ資格が十分にあると思うのだ。


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