改正点その1 派遣事業は全て許可制に!
労働者派遣法の改正で、派遣の受入期間の制限は実質的になくなりました
改正時点で特定労働者派遣事業を営んでいる場合は3年間、一般労働者派遣事業を営んでいる場合は許可の有効期限の間はそのまま事業を継続できますが、数年のうちに一般労働者派遣、特定労働者派遣といった2つの名称は姿を消すことになります。
これまでは、特定労働者派遣といっても、有期雇用契約を結んで案件がなくなれば雇止めするというような、実質的に一般労働者派遣とあまり変わらない実態の派遣元事業主も存在していました。改正の理由の一つとして、今回全て許可制とすることで、派遣元事業主に対するモニタリングを強化しようとする狙いがあります。
改正点その2 3年ルールの単位が業務から個人に!
派遣労働者にとっては、この改正が最も影響があるでしょう。しばしば3年ルールと呼ばれる、労働者派遣の期間制限。同じ業務に派遣労働者を受け入れる期間は3年までとし、それ以上は派遣先が直接雇用を申し込まなければならないというものです。とはいっても、改正前は、ソフトウェア開発や機械設計、研究開発など26種類の職種については、このルールの適用対象外でした。このため、これらの職種では、期間の制限なく、ずっと同じ業務を派遣労働者に行わせることができました。
今回の改正では、こうした職種の例外をなくし、すべての労働者派遣に対して、3年間の期間制限が設けられました。具体的には、「同じ課への派遣は3年まで。」という制限です。
改正前と同じ3年という期間が出てきましたが、その内容は大きく異なるので注意が必要です。改正前は業務単位で3年間という制限でした。例えば、人事部のとある業務を派遣労働者のAさんが2年、同じく派遣労働者のBさんが1年担当すると、3年ルールが適用され、派遣先にBさんへの直接雇用の申込み義務が発生しました。
しかし、改正によって3年間の基準が個人単位に代わりました。具体的には、「同じ課に3年間を超えて同じ人を派遣してはいけませんよ。」ということです。同じ派遣先であっても、課が変われば3年を超えての派遣も可能です。例えば、Aさんが3年間B社の経理課に派遣された後、その後3年間はB社の人事課に派遣されるということも制度上は可能となっています。また、業務単位の3年ルールはなくなりますので、Aさんが3年間担当した業務を、別の派遣労働者のBさんが担当することも可能です。
また、例外として、派遣元で期間の定めがない雇用をされている場合は、派遣期間に制限はありません。派遣労働者の安定を狙っているため、もともと派遣元で正社員など無期雇用の形態で雇用されていれば、派遣先での期間制限を設ける必要はないですよね。
改正点その3 雇用安定措置の実施が義務化!
雇用安定措置とは、以下のいずれかを指します。1.派遣先への直接雇用の依頼
2.新たな派遣先の提供
3.派遣元での、派遣以外の形での無期雇用
4.教育訓練や紹介予定派遣など、その他雇用の継続を図るための措置
派遣元事業主は、派遣先の同じ課への派遣期間が3年間の場合は雇用安定措置を義務付けるとともに、派遣期間が1年以上3年未満の場合は、同様の内容が努力義務として課されます。
今回の改正は、課さえ変えれば同じ人を派遣労働者として受け入れ続けられるということで、派遣労働者はずっと派遣労働者として固定化されるのでは、という懸念があります。これに対して、雇用安定措置を義務付けることで、派遣の固定化を防ぐことが意図されています。とはいえ、派遣期間によっては努力義務になるなど例外もあり、どの程度まで雇用安定措置が有効に機能するかが、派遣の固定化を防ぐための重要ポイントとなるでしょう。
他にも、派遣労働者としての勤務を望む人のために、派遣先の社員との均等待遇の推進など改正点はたくさんあります。改正点は多いですが、自分なりに理解するように努めましょう。そうすることが、自分のキャリアを考える第一歩になるのではないでしょうか。