「最強はね、やっぱり長生きして人生楽しんでるおじいちゃん、おばあちゃんですよ」
てっきり猪木やカールゴッチ、ルーテーズなどの名があがるものと思っていたガイドは仰天と同時にバリリと鱗をはがされた。たしかに、そうだ。長生きは強いからこそできる偉業である。笑点なら「座布団3枚やっとくれ」の名解答だ。
さて、ここからが本題である。
最強の棋士とは
「最強の棋士は誰ですか」ふつうなら、歴代名人・竜王の名があがるだろう。だが、ここでは、藤原流の思考をいただこう。
「最強棋士はね。やっぱり長生きして将棋を楽しんでるおじいちゃん、おばあちゃんですよ」
多くの愛棋家はアマ名人になることはできない。ガイドにしても、名人位など夢に見ることさえ、おこがましい。しかしである。しかし、年齢を重ねながら将棋を楽しむことならできそうだ。つまり、ガイドも藤原流・最強棋士になれるのだ。老後、地域の仲間とほのぼのと指す縁台将棋。たしかに、これぞ藤原流・最強だ。そして、さらに大きなリングも用意されている。ねんりんピックである。
ねんりんピックこそ真の五輪だ
ねんりんピックとは高齢者が主役の「全国健康福祉祭」の愛称だ。愛称によってイベントが浸透・拡大した好例であろう。本名の方は、なんかちょっとお役所だよねって感もある。初開催は1988年。ちなみに当時のガイドは28歳。まだまだ、ピンとこない年齢であったが、このネーミングには「やるなあ」と唸ったものだ。樹木の年輪とオリンピックをかけていることはすぐにわかっちゃうし、なんとも響きがよい。
ただ、この愛称で誤解されている方もいるのではないだろうか。現在行われている五輪はまぎれもなくスポーツの祭典である。だから、ねんりんピックも高齢者スポーツのイベントだと思ってしまってる人がいる。実際に28歳の若きガイドはそうであった。
しかし、ねんりんピックの真実の姿はスポーツと文化両方の祭典なのである。じゃあ、この愛称はまずいのかというと、これまたそうではない。歴史をひもとけば、そもそもの本家五輪はスポーツと芸術の祭典であったのだ。だから「ねんりんピック」の方が、より本来の五輪に近いのである。ガイドは叫びたい。本来の五輪精神を受け継いでいるのは現代五輪ではない。ねんりんピックだ。おおっ、すごいじゃないか、ねんりんピック。シンボルマークや会場建設なんかで、もめないしね。
国を挙げての一大イベント
主催は、厚生労働省・開催都道府県(政令指定都市)・一般財団法人長寿社会開発センターの3者、国を挙げての一大イベントだ。厚労省のHPによると、目的は以下の通り。
そこでである。ガイドに言わせれば、文化とくれば当然「将棋」である。全国健康福祉祭(愛称:ねんりんピック)は、スポーツや文化種目の交流大会を始め、健康や福祉に関する多彩なイベントを通じ、高齢者を中心とする国民の健康保持・増進、社会参加、生きがいの高揚を図り、ふれあいと活力ある長寿社会の形成に寄与する。/厚労省
ねんりん種目に将棋はあるのか?歩歩歩(フフフ)、もちろんある。いや、燦然と輝いているのである。
上記のHPの「福祉・生きがい関連イベント」紹介欄をご覧いただこう。
いかがであろうか。囲碁と将棋が文化の先陣を切って例示されているではないか。ありがとう、ねんりん!囲碁や将棋などの文化交流大会や……(後略)/厚労省
これまで紹介したように、ねんりんピックは全国規模の大イベントである。第1回は兵庫県で開催された。この記事を書いている2015年は山口県、「ねんりんピックおいでませ!山口2015」である。画像はその開会式の様子だが大盛況だ。(撮影は大分県将棋連合会の棋楽庵氏)
種目ごとに会場が分かれていて、それぞれで技術を競い合う。画像は将棋会場でのセレモニーの様子だ。「将棋交流大会」と銘打たれていて、その名の通り、最大の目標は交流だが、やっぱり勝負。そこは気合いが入ってくる。全国からやってきた最強戦士達の対局なのだから、白熱の戦いは必至、真剣である。また、だからこそ、本当の交流が生まれるのである。
各地域でのねんりんピック
しかし、遠方まで出かけていくのは、ちときついって方もいるだろう。本年55歳を迎えたガイドだってそう思う。ご安心願いたい。ねんりんピックは各地域でも行われている。もちろん全国大会のように大規模ではないが、地域の花形イベントとして行われている。ちなみに、ガイドは大分県のねんりんピック(豊の国ねんりんピックシルバー将棋大会)にスタッフとしてお手伝いさせてもらったが、熱気ムンムン、迫力満点であった。興味のある方は、ぜひ、お住まいの県庁に問い合わせていただきたい。記事の最後に書きたい。スタッフとしての経験から、ガイドは確信したのである。「最強棋士はね。やっぱり長生きして将棋を楽しんでいるおじいちゃん、おばあちゃんですよ」
(了)
-------------
追記
「敬称に関して」
文中における個人名の敬称について、ガイドは下記のように考えています。
(1)プロ棋士の方の活動は公的であると考え、敬称を略させていただきます。ただし、ガイドが棋士としての行為外の活動だと考えた場合には敬称をつけさせていただきます。
(2)アマ棋士の方には敬称をつけさせていただきます。
(3)その他の方々も職業的公人であると考えた場合は敬称を略させていただきます。
「文中の記述に関して」
(1)文中の記述は、すべて記事の初公開時を現時点としています。