「ロマンスとドラマが一体化した振り付けが
あまりに素敵で、踊らずにはいられません」
Photo by Max Lacome-Shaw
アラン「何もせずともスター・オーラが滲み出てしまう……というのは冗談(笑)。実は全員、両肘をぴたっと体につけて踊るなかで、ジェリーだけは少しだけ肘を離していい、と言っていただいているので、それが皆と違って見える理由ではないかな」
――一幕終わりの「TOP HAT」もビッグナンバーです。
Photo by Max Lacome-Shaw
――“Heaven~, I’m in Heaven~”というあの有名なメロディで始まるデュエット・ダンス「Cheek to Cheek」にはうっとりさせられますね。
Photo by Max Lacome-Shaw
アラン「終わると一瞬の静寂の後、かすかにメロディのリプライズが聞こえてくる…。あの余韻のある演出が、また実にいいんですよ」
――ユーモラスな台詞の中には、「僕は気が付けば突然踊っているんだ」というものもありますが、もしかしてこれはダンサーにとっては“真実”ですか?
シャーロット「確かに、スーパーで買い物をしていて、知らぬ間にステップを踏み始めている…ということはよくあります(笑)」
アラン「昨日も飛行機の機内エンタテインメントを聴いていたらすごくいい曲があって、思わず振付が浮かんだし、二人で食事をしていても上半身がリズムをとり始めてた…ということもあるね(笑)」
――お二人とも幼少時からダンスを学んだのですね。
シャーロット「叔母が元バレエ・ダンサーで、彼女の教室で学びました。引っ込み思案でいつも隅っこに隠れていた私の可能性を見出し、数えきれないくらいアドバイスをしてくれましたね。今もすべての出演作を観に来て感想を言ってくれます」
アラン「僕は落ち着きのない子で(笑)、いつもキッチンで足を鳴らしていて、母が“そんなにうるさくしたいならタップ教室にでも行きなさい”と言い、父が“男の子がダンス?”と渋い顔をするのを脇目に、通いだしたんです。これが僕にぴったりで、10代でタップ選手権で優勝した後、ロイヤル・バレエのスクールでバレエの勉強もし、俳優デビューしました」
――アランは『クレイジー・フォー・ユー』、シャーロットは『ダーティ・ダンシング』等の主演作もありますが、本作の成功で、英国ミュージカル界での“スター”の座が確固たるものとなったと伺っています。今後の夢は?
アラン「ブレイクに溺れず、今は慎重にと心掛けています。自分の可能性を広げるためにも、次は悪役など、意表をついた役に挑戦したいですね」
シャーロット「ジンジャー・ロジャースが演じた役という、女優なら誰もが抱く夢がこんなに早く叶ってしまいました。小さな夢としては、次の舞台はロンドンとか、一か所に留まっての公演がいいですね。ここ数年間旅公演が続いていて、家族の顔が見られないのは、やっぱり寂しいもの」
アラン「一連の『TOP HAT』公演は今回の来日でひとまず終了ですが、今、英国ではアステア・スタイルのダンスがブームなので、アステア・ダンスのショーをやってみたい気もしますね」
誰も企画しなければ、僕ら二人で作ろうか?と微笑みあっていた二人。過去にも共演経験があり、相性もぴったりのアラン&シャーロット、ツアー最終地の日本では最高の『TOP HAT』を見せてくれそうです。
*次頁で演出のマシュー・ホワイト、振付のビル・ディーマーのインタビューをお届けします!