ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

華麗な舞台に溜息!『TOP HAT』主演&スタッフ取材

輝くばかりにゴージャスで、ため息が出るほどロマンティック。ミュージカル映画史に燦然と輝くフレッド・アステア主演映画を舞台化し、英国で大ヒットした『TOP HAT』が、遂に来日公演を行います。イギリスで社会現象にまでなった本作の魅力を、日本公演で主演予定のキャストと演出家、振付家への取材を通し、たっぷりとお届けします!*観劇レポートを追記しました*

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド

『TOP HAT』

『TOP HAT』

バレエとタップ、ジャズダンスに社交ダンスをブレンドし、唯一無二のダンス・スタイルを創造したミュージカル界のレジェンド、フレッド・アステア。ボブ・フォッシー(『ピピン』『シカゴ』)やあのマイケル・ジャクソンはじめ、およそエンターテイナーと呼ばれる人で影響を受けていない人はいないというほど偉大なアステアの代表作が、1935年にアメリカで公開された『トップ・ハット』です。

「勘違い」がもとで起こる恋の大騒動が、エレガントこの上ないアステアと相手役のジンジャー・ロジャースの超絶技巧ダンスを交えつつ描かれた本作は、アーヴィング・バーリンによる楽曲の素晴らしさも手伝って大ヒット。挿入曲の5曲すべてが当時のヒットチャートにランクインするほどの人気でした。

 しかし多くのミュージカル映画が当然のように舞台化されてきた中で、本作の舞台化は長い間実現せず。アステアの印象があまりにも強く、製作者たちが尻込みした部分もあれば、権利所有者(バーリン楽曲の権利管理団体)が少しでも不安要素のあるプランには許可を出さなかったという事情があったようです。

Photo by Max Lacome-Shaw

Photo by Max Lacome-Shaw

そんななか、一度は却下されながらも不屈の根性で上演権を獲得、映画公開から80年近くを経て『TOP HAT』を舞台化したのが、英国の製作者ケニー・ワックス。舞台づくりに時間がかかりがちなブロードウェイより小回りが効き、“古き良き”素材に対する人気も根強い英国での実現は、ある種の「必然」であったのかもしれません。11年の初演以来センセーションを巻き起こし、マスコミにも絶賛されている本作。この秋の初来日を前に、関係者たちへのインタビューを一挙、公開します。まずは主演(予定)の美男美女コンビ、アラン・バーキット&シャーロット・グーチから!

主演アラン・バーキット&シャーロット・グーチ
「『TOP HAT』は最高の現実逃避。
極上のシャンパンのような世界を、ぜひ楽しんで!」

アラン・バーキットundefinedカンタベリー出身。『雨に唄えば』『42nd Street』等に出演。シャーロット・グーチundefinedロンドン近郊出身。『グリース』『キャッツ』等に出演。(C)Marino Matsushima

アラン・バーキット カンタベリー出身。『雨に唄えば』『42nd Street』等に出演。シャーロット・グーチ ロンドン近郊出身。『グリース』『キャッツ』等に出演。(C)Marino Matsushima

シャーロット(ソファに腰かけながらこの記事トップにも掲載の来日公演ちらしを見かけて)「あら、私たちの写真だわ!」

――振付のビル・ディーマーさんから伺いましたが、この写真を撮るのに何時間もかかったのだそうですね。シャーロットさんは驚異の忍耐力でずっと脚を上げ続け、終わった時にはスタジオにいた全員が感激の涙を流したとか。

シャーロット(照れ笑いをして)「いろいろなポーズをするうち、この構図がいいねということになったんです。だからどれくらい時間がかかったか、あまり意識していませんでした」

アラン「彼女の脚は筋肉痛知らずなんだ(笑)」

――3月に(英国中西部の都市)バーミンガムで巡演中に拝見しましたが、まず観客のリアクションに驚きました。序曲が終わっただけで口笛交じりの拍手喝采がどっと起き、コミカルなシーンではその都度大笑い。ブロードウェイ含め各地の劇場を訪ねていますが、生涯、経験したことのない盛り上がりぶりでした。

アラン「嬉しいことに全英ツアーでは“最高の現実逃避だ”“極上のシャンパンのよう”とどこでも好評をいただいていますが、面白かったのは、特に北に行くにつれてお客さんが凄くなること(笑)。スコットランドやアイルランドではもう、大騒ぎでしたよ。日本では落ち着いたお客様が多いと伺っていますが、どうご覧いただけるのかとても楽しみですね」
Photo by Max Lacome-Shaw

Photo by Max Lacome-Shaw

――お二人とも、映画版のジンジャー&フレッドさながらの優雅さでしたが、特にアランさん、ダンスはもとより歌でも軽やかなトリル(喉に力を入れないコブシ)を効かせていて、30年代ムードたっぷりでした。

アラン「ハハハ。最初は取り入れていなかったのだけど、回を重ねるにつれ自信がついてきたんだ。もともと僕は『We Will Rock You』のようなロック系ではなく、本作のようなミュージカル向きの声質なので、日々工夫しているよ」

*『TOP HAT』トーク、次頁にまだまだ続きます。各ナンバーのポイントもわかりやすくお話いただいています!

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