「ディズニー・アニメ」と「前衛芸術」が出会った、奇跡のミュージカル『ライオンキング』

『ライオンキング』( C )Disneyundefined撮影:上原タカシ

『ライオンキング』( C )Disney 撮影:上原タカシ

上演時間=2時間50分(休憩込)

〈こんなファミリーにお勧め!〉
・子連れでも、名作が観たい(←98年度トニー賞作品賞受賞。間違いなく、ミュージカルの流れを変えた名作です!)

・子供が最近、動物に興味を持ちだした(←たくさん出てきます!)

・子供が図画工作、大好き。もしくは親子で楽しみたいと思っている(←パペットやマスク、セットの創造的なデザインは、子供にも親にもきっと刺激的!)

・パパは口下手だけど、子供に「いつも愛してるよ」と伝えられたら、と思っている(父性愛が美しく詩的に描かれたシーン有。子供よりパパのほうがぐっとくるかも)

〈何歳から大丈夫?〉 
『ライオンキング』夢のキャラクターも登場する「早く王様になりたい」( C )Disney 撮影:堀勝志古

『ライオンキング』夢のキャラクターも登場する「早く王様になりたい」( C )Disney 撮影:堀勝志古

特に一幕はカラフルかつ変化に富んだ場面の連続なので、まだ「物語」は理解できない子供でも、場面、場面が楽しめます。隣で「ライオンさんが出てきたね!」などと囁く親の言葉が概ねわかる3歳前後の子なら、体験の価値あり。ストーリーを追えるという意味では、5歳前後からがお勧めです。

〈どんなミュージカル?〉
アフリカの雄大なサバンナに生まれた子ライオン、シンバの成長物語。原作のアニメ版はエルトン・ジョン&ティム・ライスによる親しみやすい名曲に彩られ、大ヒットしました。舞台化にあたっては、前衛芸術家のジュリー・テイモアが起用され、日本の文楽など、東洋の伝統芸能の手法を取り入れた演出で97年、ブロードウェイにて開幕。日本では98年から劇団四季がロングラン中で、上演回数は2015年7月に通算1万回を超えました。

〈物語〉
動物たちの王国、プライドランドのプリンスとして生まれたシンバは、両親や周囲の動物たちの愛情を一身に集めて育っていたが、叔父スカーの陰謀で父王ムファサを殺され、王国を追われてしまう。ジャングルでイボイノシシのプンバァ、ミーアキャットのティモンと気楽に暮らすが、ある日、幼馴染のナラに再会。王国がハイエナたちに乗っ取られたことを聞かされ、自分が何者かを思い出したシンバは、故郷に戻り、王国再建のために叔父と対決する……。
『ライオンキング』王国への帰還を決意するシンバ( C )Disney 撮影:阿部章仁

『ライオンキング』王国への帰還を決意するシンバ( C )Disney 撮影:阿部章仁

〈ここが見どころ!〉

・オープニング(←ディズニーの意向で内容については「お楽しみ」ということになっていますが、「何か」が起こります。遅刻すると、とても残念なことに。ぜひ時間に余裕をもってお出かけください!)

・作品のテーマは「生命の環(わ)」(←物語の最初と最後は、ほぼ同じ構図。生きとし生けるものが、命のバトンを渡していきながら地球がなりたっていることが、分かりやすく示されます。父子の散歩シーンでも、これを解説したセリフが登場。小学生以上の子なら、「どんな命も大切なんだ」とじんわり感じられることでしょう)

・日本の伝統芸能が隠れている?(←例えばパペットを、それと同じ扮装をした役者が動かすというティモンの演出は、文楽や八王子車人形など、日本の伝統芸能にヒントを得たもの。他にもさまざまなキャラクターの表現に日本やインドネシアの伝統芸能の影響が見て取れます。観劇後、それぞれのキャラクターがどう表現されていたか、親子で振り返ってみるのも楽しいでしょう)
『ライオンキング』雌ライオンの狩りのシーン。( C )Disney 撮影:上原タカシ

『ライオンキング』雌ライオンの狩りのシーン。( C )Disney 撮影:上原タカシ

・アフリカン・サウンドの圧倒的迫力(←アニメ版ではほんの一部に起用されていたアフリカ人音楽家、レボ・Mが、舞台版では多くの新ナンバーを担当。躍動感溢れるアフリカン・サウンドが楽しめます。特に雌ライオンの狩りのシーンでは、音楽はアフリカン・ドラムとズールー語の合唱のみ。お腹に響くビートはしばらく、忘れられないかも?!)

《子連れ観劇レポート》
子供は3歳。「昨日、どこに行った」と言える程度の記憶力はありますが、まだ物語は追えません。前準備として、観劇数日前にディズニーのいろいろなアニメ映画をダイジェストにした、幼児向けの読み聞かせ映像の中から、2~3分にまとめられた『ライオンキング』編を視聴。「シンバのお芝居、観に行く?」と聞くと大乗り気になり、その勢いで劇場に。

四季劇場「春」の親子観劇室。写真提供:劇団四季

四季劇場「春」の親子観劇室。写真提供:劇団四季

お芝居が始まると、意外なキャラクターを怖がったりもしましたが、さすがディズニー、台詞の多いシーンの次には賑やかでカラフルなシーンが、とめりはりの効いた構成ゆえ、だれきったり騒いだりすることは無く、終始、自分のお席に座っていることができました。(今回は利用しませんでしたが、客席後方に設置されたガラス張りの「親子観劇室」は、子供が騒ぎ出したら駆け込める安全ゾーン。これがあることで、親としても大いに心の保険になりました)

観劇から3週間経った今、「どんなお話だった?」の問いかけには「……いろ~んな動物出てきた!」とはしょって(?!)答えますが、「ナーンツィゴンニャーママギーチババー」と意味不明のままズールー語の歌を歌ったり、プログラムを開いて舞台写真のページを見ながら、「キリンさん出てきたね、ゾウさんも出てきたね」と何度も反芻。子供心に、楽しい思い出としてインプットされているようです。

*公演情報『ライオンキング』ロングラン上演中=四季劇場「春」 http://www.shiki.jp/ 子供料金設定のある「ファミリーゾーン」も有り
*次頁で2016年4月23日の公演レポートを掲載しました!*