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相次ぐマンション転落…置き去りにされた幼児の気持ち(3ページ目)

頻発するマンション高層階からの子どもの転落事故。置き去りにされた子どもたちは、なぜ手すりを乗り越えてしまったのでしょうか。心理的・身体的理由を両面から解説します。

河崎 環

執筆者:河崎 環

子育てガイド


「高所平気症」という現代ならではの心理

高所平気症

高い所の怖さを教えられない子どもは、高い所を恐れない

高層マンションで育てられた子どもの中には、高い場所を怖がる本能的な感覚が失われているという指摘もあり、「高所平気症」と呼ばれているようです。もともと物心ついた頃から高層マンションで暮らすため、高い場所に住んでいるという認識自体がなく、日常に見る風景として高い場所に慣れてしまっているのです。高い場所の危険性や、落ちたらどうなるかの因果関係を理解しているわけではないため、子どもの転落事故の一因と言われています。

中高層マンションに限らず、2・3階建の住宅や、仮に平家の住宅であっても、どのような状況で子どもの転落が起きるかはわかりません。転落事故を防ぐためには、消防や建築専門家による詳細な注意事項を読むなどして、子どもが手すりをよじ登ってしまう可能性自体を限りなく低くする「物理的なアプローチ」は当然のこと、子どもに高い場所から落ちたらどうなるかの因果関係をしっかりと教え込み、自分を守るために高い場所への健全な恐怖心を持たせる「心理的なアプローチ」の両面から対策を取る必要があるでしょう。

子どもであるとは、脳も心もまだ発達途中でアンバランスであり、言い換えるなら「まだ人間として暮らすことに慣れていない」状態です。まだ小さいから、や、もう大きくなったから、という大人の常識レベルに基づいた推測は、子どもに対しては応用できないことがほとんど。それくらい子どもは大人には予期できぬ行動を取ってしまうものです。だからこそ子どもの危険対策は理屈ではなく、個々の子どもを実際に見守り観察しながら丁寧に教えていく作業が必要なのだと知り、悲劇的なアクシデントを未然に防ぎたいですね。
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