大きくきれいに写すならマクロレンズ
いくつもの種類があるデジタル一眼カメラ用交換レンズだが、その多くは焦点距離で分類されている(参考ガイド記事:デジタル一眼カメラの交換レンズ選びのポイント)。しかし、「マクロレンズ」はやや事情が異なっている。マクロレンズの特性はマクロ、つまり被写体を大きく写せるということなのだ。
菜の花を大写しに撮影。おしべにピントを合わせたが、めしべの先端はすでにボケている。
ただし、マクロレンズにも焦点距離はさまざまなものがあるが、そのあたりはまた後述。マクロレンズを使う時に気をつけたい部分から見ていこう。
レンズのスペックに「最短撮影距離」というものがある。コンパクトカメラではレンズの先から何cmまで寄れるというような数値になっていることが多い。しかし、デジタル一眼カメラの場合は異なる。撮像面、すなわちCCDやCMOSがある場所から何cmであるがレンズの最短撮影距離となるのだ。
右上に拡大したギリシャ文字のファイ(Φ)のような部分が「このラインに撮像素子がありますよ」というマーク。
レンズ先端からの距離は一般に「ワーキングディスタンス」と呼ばれる。特にマクロレンズのスペックを見る時には注意が必要だ。長いレンズではワーキングディスタンスが短くなり、取り回しがしにくくなることがある。
1が「ワーキングディスタンス」、2がレンズスペックの「最短撮影距離」
もうひとつ、レンズのスペックに「撮影倍率」という数字がある。要するにどれほど大きく写すことができるかという数字である。これが「1倍」であれば、撮像素子に等倍――すなわちフォーサーズであれば横幅17.3mmのものを画面いっぱいに、35mmフルサイズであれば横幅35mmのものを画面いっぱいに写すことができるということになる。
マクロレンズは総じて撮影倍率が高い。すなわち、被写体を大きく写せるというわけだ。まるで虫眼鏡で観察するかのような花の画像や、複眼の一粒まで見えそうな昆虫の画像を見たことがあるだろう。ああいった画像はマクロレンズで撮影されているというわけだ。
また、「ちょっとしたプロ気分が味わえる? 被写界深度とは?」で書いたように、背景ボケは被写体に近ければ近いほど綺麗に出る。マクロレンズは被写体を大きく写すことに加えて、背景ボケが出ることで幻想的な画像が得られるのだ。