英国スパイアクションと、泣ける映画2本
『キングスマン』(2015年9月11日公開)高級テーラーの仕立て職人ハリー(コリン・ファース)は実はスパイ組織“キングスマン”の凄腕エージェント。彼は新人エージェントとしてエグジー(タロン・エガートン)をスカウト。実は彼の父はハリーの命の恩人だった……。
上品なテーラーの裏側はスパイのオフィスという、ワクワクさせる仕掛けとキレキレのアクションでたたみかける英国スパイアクションです。コリン・ファースのアクション映画なんて驚きですが、ダンディなスーツ姿のまま闘う姿はクールで、彼の新たな魅力を発見した気持ちに。また新人エージェントの成長物語としても見応えもあり。
アクションの魅せ方などバリエーション豊富でポップですが、個人的には簡単に人が死にすぎて、死が軽く描かれている感じが怖い。でもこういう映画にそういう感想は野暮かもしれません。(公式サイト)
監督:マシュー・ヴォーン 出演:コリン・ファース、マイケル・ケイン、タロン・エガートン、マーク・ストロング、サミュエル・L・ジャクソン、マーク・ハミルほか
『ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声』(2015年9月11日公開)
孤独な少年ステット(ギャレット・ウェアリング)は、たぐいまれなる美声の持ち主。離婚した父親と同居できないかわりに、彼は寮のある名門少年合唱団に入学。そこで出会ったのが厳しい音楽教師(ダスティン・ホフマン)。ステットはその学校で美声に磨きをかけていくけれど……。
声変わりをする前の短い期間だけの儚い美声ボーイ・ソプラノ。不良少年が実は美声の持ち主という設定が新鮮。楽譜も読めなかったステットが少しずつ学ぶ姿勢を見せていく展開は、少年の成長をまじかに見守るような気持ちにさせられます。同級生の嫉妬、家族間の問題など数々の障害がありますが、彼を救うのはその美声、そして彼自身の努力が人生を動かしていくのです。
ちなみに日本ツアーから帰った合唱団メンバーが「日本で女の子にキャーキャー言われた」と浮かれたりするのが微笑ましい。数々の合唱の名曲も聴くことができます。(公式サイト)
監督:フランソワ・ジラール 出演:ギャレット・ウェアリング、ダスティン・ホフマン、キャシー・ベイツ、エディ・イザード、ケヴィン・マクヘイル、ジョシュ・ルーカス、デブラ・ウィンガー、リヴァー・アレクサンダーほか
『ヴィンセントが教えてくれたこと』(2015年9月4日公開)
不良老人ヴィンセント(ビル・マーレイ)宅の隣に引っ越してきたシングルマザーのマギー(メリッサ・マッカーシー)と、息子オリバー(ジェイデン・リーベラー)。忙しいマギーは、放課後、オリバーの世話をヴィンセントにお願いします。ヴィンセントは引き受けたものの、競馬場やら酒場に連れて行き、大ヒンシュク! でもオリバーはヴィンセントの意外な素顔を知っていくことになるのです。
へそ曲がりなじいさんと若者の交流といえば『グラン・トリノ』(クリント・イーストウッド監督作)もありますが、こちらはもっとハートウォーミング系です。
あんなに閉じていたじーさんの心が少しずつ開いていくのだから、子供ってすごい! オリバーが賢い少年だったせいもあるけれど、でもやっぱり子供は未来の宝だとしみじみ。脚本も演出も素晴らしく、数々の伏線が後半に生きてきて、オリバーを通して見えてくるヴィンセントの秘密や、オリバーのヴィンセントへの想いには、泣けて泣けて仕方ありません!(公式サイト)
監督:セオドア・メルフィ 出演:ビル・マーレイ、ジェイデン・リーベラー、メリッサ・マッカーシー、ナオミ・ワッツほか