「子どもの貧困」は相対的なもの

2012年の子どもの貧困率は16.3%と、過去最高を記録しました(厚生労働省「国民生活基礎調査」)。法律が作られて施行されてきた効果か、2015年は13.9%、2018年は13.5%とやや低下してきています。

「子どもの貧困」と聞いても、なかなかピンとこない人もいるでしょう。周囲を見回しても、ストリートチルドレンのような姿はどこにもありません。それもそのはず、国ごとの「相対的」なものだからです。

子どもの貧困とは「その国での『当たり前の生活』が送れない」状態を指します。貧困のラインの線引きとしては、世帯の1人当たり可処分所得の中央値(少ない順に並べたときの真ん中の値)の半分が基準です。この基準以下の家庭で暮らす子どもが該当します。現在、日本の子どもの7人に1人が相対的貧困の状態にあるとされています。
 

子どもの貧困は目に見えにくく、気づかれにくい

日本での子どもの貧困は、前述のように飢えや家がないといったことではなく、すぐそばにいても気づきにくいのが特徴です。例えば、次のような子たちとみられます。

「朝ごはんを食べずに登校。歯並びが悪く、虫歯も多い。入浴や着替えが毎日でないときもある」

「習い事やスポーツ、部活などもあまりしない。他の子が持っているようなゲームなどもなく、話題に入れないことも。修学旅行も行かない」

「親の収入が不安定で、不安やストレスの中で育ってきたためか、自己肯定感が持てず、何でもすぐにあきらめてしまう」

「塾に行くお金がなく、成績が悪くても改善できない。成績が悪いのは頭が悪いからだと思い込み、自信が持てない」

「中学卒業後に働く子や、働きながら定時制高校に通う子も。大学進学率は低い」


周りがみんな貧しかった時代には何でもなくても、生活水準が上がっている中では、みんなと同じにできないことは辛いことです。
 

子どもの貧困が増えてきた2つの理由

子どもの貧困は、育てる親の低所得や生活困窮が主な原因といわれています。親が貧困状態にあるため、子どもも貧しい暮らしになります。

子どもの貧困が増えてきた理由は主に2つ挙げられます。

1つは、90年代後半以降に派遣社員など非正規雇用が増え、経済的に不安定になったこと。不景気と相まって、大きな要因として指摘されています。

もう1つは、ひとり親世帯、特に収入の低い母子世帯が増えたことが挙げられます。2016年時点の母子世帯は推計123万世帯で、就労収入は平均約200万円と低いままです(厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」)。

前出の「国民生活基礎調査」によると、2018年の子どもの貧困世帯は、子どもがいる現役世帯(世帯主が18歳以上65歳未満)のうち「大人が1人」の世帯が48.1%と、諸外国と比べかなり高いことがわかります。「大人が2人以上」では10.7%です。

<海外のひとり親世帯の相対的貧困率>
・アメリカ 46.3%
・イタリア 37.0%
・ドイツ 29.6%
・オランダ 29.5%
・フランス 25.9%
・イギリス 23.2%
・OECD平均 32.5%
(出典:OECD Family database “Child poverty” 2020年7月1日閲覧)
 

国の対策はどうなっている?

子どもの貧困の問題には政府も力を入れています。関連する法律や制度も整備されてきました。

●子どもの貧困対策法(子どもの貧困対策の推進に関する法律)
●生活困窮者自立支援法(生活困窮者の自立をサポート)
●子ども・子育て支援制度
高校生向け給付型奨学金の拡充
●低所得向け大学の給付型奨学金
●幼児教育の無償化
●ひとり親家庭の生活・就労支援
●民間資金を核とする基金創設「子供の未来応援国民運動」
(学習や生活の支援団体を助成)

「教育支援」「経済支援」「生活支援」「就労支援」と幅広い支援が行われています。子ども食堂や学習支援ボランティアなども広がりました。
 

コロナ禍直撃の影響は?

改善のためのさまざまなメニューがそろいつつあり、昔に比べ、少しずつ親の負担は軽くなってきた矢先に、コロナ禍が非正規雇用などを直撃した形です。

さまざまな緊急支援もありましたが、Withコロナ時代にどのような影響となるのか、2022年に発表される「国民生活基礎調査」が気になるところです。

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【参考資料】
厚生労働省 貧困率の状況 2018(平成30)年の貧困線
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20_21_r021222_seigo_g.pdf

厚生労働省 ひとり親家庭等の支援について
https://www.mhlw.go.jp/content/000781864.pdf
 
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