では続いてComing Century=カミセンの3人を見ていきましょう。
森田剛
もはやアイドルという枠を軽々と越え、舞台俳優として演劇界で高い評価を得ている森田剛さん。実は舞台歴は8本とまだ少ないのですが、どの作品でも一筋縄ではいかないキャラクターを演じ、全ての舞台でしっかり爪痕を残しています。実はガイドがジャニーズ事務所の演劇界での力を再認識するきっかけになったのが森田さん主演の『IZO』(2008)。劇団☆新感線のいのうえひでのり氏が手掛けた本作で、森田さんは”人斬り以蔵”こと岡田以蔵を演じていたのですが、人を斬ることでしか己の思いを現せない哀しみと切なさが滲み出ている人物造形にすっかりヤラれてしまいました。
その後も蜷川幸雄氏や宮本亜門氏らと仕事を続け、昨年の『夜中に犬に起こった奇妙な事件』では実際より20歳年下の15歳の少年・幸人を演じて新境地を開拓。舞台に立つと、良い意味で全ての生活感が消える稀有な存在のプレーヤーだと思います。
三宅健
ジャニーズjr.時代は森田さんと「剛健コンビ」を結成し、ジャニーズjr.の黄金期を築いた三宅健さん。V6としてのデビューが決まった際、ジャニー喜多川氏に「剛が(グループに)入らないんだったらやらない」と直談判し、2人揃ってのデビューになったのは有名な話。三宅さんの舞台出演歴は森田さんより一本多い9作品。昨年は演劇界の重鎮・栗山民也氏が演出した舞台『炎立つ』で、片岡愛之助さん演じるキヨヒラの異父兄弟・イエヒラ役をハスキーボイスと鋭い眼光をもって演じ、新しい一面を魅せました。三宅さんと言えば明るくイタズラ好きでチャーミング=奇跡の35歳(当時)というイメージでしたので、影があり、胸に憎悪を秘めたイエヒラ役は衝撃的でした。
舞台でも「剛健コンビ」、観てみたいですね。
岡田准一
バラエティ番組の企画オーディションを経てジャニーズ入りという、異色の経歴を持つ岡田准一さん。大河ドラマ『軍師官兵衛』での主演をはじめ『木更津キャッツアイ』『SP』『図書館戦争』など、映像での活躍が特に目立ちます。そんな岡田さんの舞台出演はV6中最も少ない2本。うち1本は坂本さん、井ノ原さんと共に主演した『MASK』(1997年)、そしてもう1本は2003年に出演した蜷川幸雄氏演出のギリシャ悲劇『エレクトラ』です。
『エレクトラ』では大竹しのぶさん演じるエレクトラの弟・オレステスを演じた岡田さん。ギリシャ悲劇でありながら、かなり笑いどころもあり、最後は珍しくハッピーエンドを迎える本作で、23歳の岡田さんがベテラン・大竹さん相手にガチでぶつかっていく姿が印象的でした。二人のキス(?)シーンもあったりして。
……と、かなり駆け足ではありますが、V6のメンバー6人の活動を「舞台」という視点で切り取ってみました。
彼らの前後にデビューしたTOKIOや嵐と比べても、舞台に出演する機会が多いV6のメンバー。身体能力の高さとキャラクターの強さ、しっかりした技術力が演劇界で愛されているのでしょう。
2015年はV6にとってデビュー20周年となるアニバーサリーイヤー。舞台出演に関しても、なにか大きなサプライズが発表されることを期待しつつ、今後の演劇界での6人の活躍をチェックしていきたいと思います。
関連記事
◆ジャニーズ事務所が舞台に拘る意外な理由
◆ジャニーズ事務所の演劇「裏」事情~彼らが輝く理由~
◆蜷川幸雄×ジャニー喜多川 2人の”演出家”が語る極意