おばあちゃんに来てもらいたい店。北海道産の小麦粉で焼く優しいパン
ひとつひとつ丁寧に焼かれたパンを対面販売で
西永福の商店街で、この秋5周年を迎えるPANYA komorebi(こもれび)はオープン以来ずっと北海道産小麦でパンを焼いています。お昼どきには焼きたてのパンが並び、次々に訪れるお客さんの手に渡っていきます。
整列する「まるパン」各種
ショウケースのなかで整列する様子がなんともかわいいのは、「まるパン」各種。プレーン(80円)のほか愛媛のブラッドオレンジに、青森のリンゴ、くるみ、ミルクチョコ、モハベレーズンなどのバリエーションが100円。ふんわりしながら、ほどよくもっちり。こういうパンを高いクオリティでまじめに焼いている店はなかなかないのです。
あんバター
練乳ミルクロール
十勝産のつぶあんとバターを挟んだ「あんバター」(130円)も人気。コクのあるミルククリームを挟んだ「練乳ミルクロール」(130円)は生地とクリームの絶妙なバランスに夢中になりました。しかしこれらの価格、スーパーやコンビニのパンと変わらないのでは。
イートインスペースを併設
「おばあちゃんに、来てもらいたいんです。そのためには利便性の良い場所で、価格もおさえて、と思って」というのは店主の齊木俊雄さん。彼はサーファーで、かつてはサーフィン第一の人生だったけれども、自身のお祖母さんが亡くなった時に、これからは人のために生きていきたいと思いたって、今があるのだそうです。
「コンビニのイートインでおばあちゃんがひとりで食事しているのを見るとせつなくなるんです。食事は大切でしょう。ぼくら町のパン屋は大量生産を優先しなくていい。地元の人たちが本当に安心して食べられるものを提供する場でありたいと思っています」。
店を出すまでの試行錯誤
アーモンド味の濃いマカロンをトッピングしたメロンパン
パンづくりに目覚めたのは北青山のイタリアンレストランに勤めていた時。食材の選び方、本当においしいものとは何か、それをつくるための理にかなった調理法など学びながら全粒粉のパンやフォカッチャなどを焼いているうちに、これは子どもの時にやりたかったことだと思い出したのだそう。修業先を模索しながら東京の大手のパン屋さんに6年、そのあとドバイで店の立ち上げに携わったことも。最終的には関西にわたり、西宮にあった「ムッシュアッシュ」の岩井直人さん(後にコンセントマーケット オーナーシェフ)のもとで修業後独立。
ヴィエノワズリは北海道産のカルピスバターで
「東京にいた最初の頃は、パンとはこういうものか、と思って焼いていました。それぞれのパンに最初から規格のようなものがあって、そのかたちにすればよいのだと。ただのサラリーマンだったんです。もっとおいしくしようとか、そのためのブラッシュアップをしようという人もいなかった」。
ベーグルも数種類
自分で店を構えてからは、職人として考えるおいしさを追求。北海道の小麦との本格的な出合いは、店を出すことを決めてからでした。北海道は食材がおいしいというイメージがあったから、問屋さんを通じて個人の生産者にも会いに行くようになったのです。