コンビでの挫折からソロでの飛躍
有吉弘行、劇団ひとり、スギちゃん、じゅんいちダビッドソン、バカリズムなど、コンビ解散の後にピンで試行錯誤した末に、見事大ブレイクを果たした芸人は少なくありません。彼らに共通するのは、ピンの身軽さもあってで様々なタイプのネタをやり続けたことでしょう。幸か不幸か多くの人の記憶から抜け落ちているようですが、今でこそ看板番組をいくつも担当してる有吉弘行だって、ソロ転向直後は「猫男爵」と名乗って、全裸芸で注目を集めていたこともあります。安村にとってはまさに直系の先輩ともいえるんじゃないでしょうか。
コンビ解散以降、安村もまったく傾向の違う芸を同時並行して舞台に掛けてきた結果「全裸に見えるポーズ」でブレイクしました。ちなみに、この芸についても細かいところでの試行錯誤があったようで、わざとぞんざいな口調を使っていたところを、ていねいな言い方に変えたり、全裸ポーズ中のバックミュージックを4小節から2小節に縮めてスピードアップするなど、細かな工夫が凝らされてきたようです。
服を着る日は意外と早い?
ここまで明るい安村のポテンシャルを評価し、「安心してください。穿いていますよ」が流行語大賞を獲得するのではと述べてきました。しかし、実は周囲が騒ぐほど、本人自身は強く意識していないのかもしれません。むしろ彼にとっての直近の関心事は「今後どうやって服を着るか?」じゃないでしょうか。ただ、こちらの方もそれほど遠くない日に実現しそうな予感がします。というのも、キャリアのないままブレイクしてしまった若手芸人と違い、とにかく明るい安村は長いキャリアの中でアドリブとトーク能力を充分身に付けているからです。
そのうえ、他人を傷つけない芸風は、現在のバラエティー界では貴重な戦力に成り得るかと。猫男爵から見事に脱皮した有吉と同じように「安村さんって昔は裸になってネタやってたんですね?」と言われる時代が、そのうち来るような気がしてならないのです。