漢方・漢方薬

映画「インサイド・ヘッド」と漢方でみる感情の必要性(2ページ目)

この夏のピクサー長編アニメーション作品は、少女ライリーの頭の中の感情たちが繰り広げる冒険ファンタジー。ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリ、ムカムカの5つのキャラクターは、実は中医学でも五志という感情と一致しています。なぜ5つの感情が必要なのか、中医学的に解説してみましょう。

杏仁 美友

執筆者:杏仁 美友

国際中医師 / 漢方・薬膳料理ガイド

過剰な感情はストレスになり、体に悪影響も

万物を5つの要素で分類する五行という思想にのっとり、中医学では、5つの感情と五臓がリンクしているといいましたが、ひとつの感情ばかり突出してしまったら、ほかの感情でコントロールしてなだめる「相克(そうこく)」という関係があります。

水が火を消してしまうように、一方のやりすぎを抑制しあう関係が「相克(そうこく)」関係

水が火を消してしまうように、一方のやりすぎを抑制しあう関係が「相克(そうこく)」関係

五行は木・火・土・金・水にわかれ、それぞれの対応する感情は木は怒、火は喜、土は思、金は悲、水は恐になります。現存する最古の医学書『黄帝内経』には次のように書かれています。

  • 悲しみは怒りに勝る(金は木を克する)
  • 恐れは喜びに勝る(水は火を克する)
  • 怒りは思いに勝る(木は土を克する)
  • 喜びは悲しみに勝る(火は金を克する)
  • 思いは恐れに勝る(土は水を克する)

映画のなかでは「カナシミ」がキーポイントのキャラクターとして登場していますが、どの気持ちも人が成長するうえでは重要な役割をもち、お互いが助け合ったり抑制しあって、その人のカラダとココロを形成していくともいえます。

つまり、相克関係はけっして悪い組み合わせではないのです。片方が出すぎないようにもう一方がたしなめ、全体のバランスを整えているのですね。

ちなみに、5つの感情に「憂い」と「驚き」をいれて七情といいます。どちらにせよ過剰な感情はストレスとなり、内臓に直接悪影響を及ぼします。ちょっとしたことでイライラしやすい人はセンチメンタルな曲を聞いたり、悲観的なタイプはとりあえず口角をあげて微笑んでみるなど、五行の相克関係を用いてストレス解消をするのもいいかもしれません。


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