けやき、桜の並木にスターハウス、
団地好きにはたまらない
松戸駅(千葉県松戸市)から新京成線で5駅、10分弱。常盤平駅は昭和30年(1950年)に作られた旧日本住宅公団が首都圏の住宅不足を緩和するために作った常盤平団地の最寄り駅です。名物は時間の経過に伴って風情を増した並木のある通り。団地内を南北に走る常盤平けやき通りは新・日本街路樹百景に、東西を走る常盤平さくら通りは日本の道100選に選ばれているのです。
団地自体の広さは約170万平米にも及び、そこに4階建ての住宅が170棟ほど点在。戸数にすると4800戸余にもなっており、ショッピングセンター、集会所、病院、小学校なども同時に作られています。特徴的なのは今では少なくなってしまったスターハウスが10棟も残っていること。スターハウスとは階段室を中心に1フロアに3戸を配した建物で、上空から見るとY字型に見えます。各戸が隣り合うことがないため、通風に優れ、独立感があるのですが、複雑な形状のため、建設にコストがかかると、昭和40年代以降はほとんど作られていません。その後、多くの団地では取り壊されてしまっているため、現在、これほどの数が残されているのは珍しいはず。団地好きならそれだけでわくわくしてしまうのではないでしょうか。
近隣には広大な公園、図書館、総合病院に
各種商業施設も
また、ゆったりとした贅沢な敷地の使い方も特徴のひとつ。これは建設時にこの土地が首都圏整備委員会が指定した首都圏整備計画のグリーンベルト緑地帯に含まれていたためで、オープンスペースの確保、造成前の樹木の保存などが行われたのです。その後、この計画はほとんど反故になってしまいますが、ここだけは早期に手が入ったため、今では松戸市内全域で見ても緑の豊富な地域になっているのです。
団地があるのは駅の南側ですが、北側も同様に雑木林などが多く残されており、駅から10分も歩けば森の中。ところどころには農産物の直売所などもあり、自然に親しむくらしができそうです。
また、常盤平駅とお隣、新京成電鉄八柱駅、JR武蔵野線新八柱駅との間には平成5年(1993年)にオープンした市の21世紀の21世紀の森と広場という、東京ドーム11個分にも及ぶ広大な公園もあります。ここは湿地帯や森林といった、昔からある自然を生かした自然尊重型の都市公園を理念として掲げており、豊かな自然が残されています。バーベキューができる森、農園などもあり、最近ではコスプレイヤーが集まる場としても知られています。公園に隣接しては松戸市立博物館・森のホール21、千葉県立西部図書館があり、子ども連れには終日遊べる場所です。もうひとつ、公園近くにある千葉西総合病院は心臓病センター、大動脈センターが有名で、全国から患者が来院するのだとか。周辺でもひときわ目立つ存在です。
自然環境ばかりを取り上げましたが、駅周辺には24時間のスーパーや飲食店、クリニックなどが入った商業施設、ボウリング場などがあり、団地内にはホームセンターなども。住宅地ですから、夜遅くまで遊ぶような場所はありませんが、毎日の生活に必要なものは揃っている、そんな街です。
レトロな団地同様、昭和な雰囲気を漂わす店舗なども多少ですが、残されており、そうした佇まいが好きな人なら散策しているだけで楽しい気分になれるでしょう。
基本は一戸建てエリア。
2000万円前半の予算で4LDKが
さて、最後に住宅事情です。基本的には分譲は一戸建て中心のエリアで、価格は2000万円から3000万円がメイン。2000万円台前半の予算で土地100平米の4LDK、場所によってはそれよりも広い土地が手に入ります。
賃貸で考えるなら常盤平団地でしょうか。ここなら単身者向けの1DK、1LDKなどから、2DK、3K、3DKと様々な間取りタイプがあり、賃料は月額3万2000円から7万円弱まで。古い団地ですから和室中心ですが、大半が南向き住戸で、友人とシェアして住むことも可能と言いますから、家賃を抑えて広い場所に住みたい人なら一考の価値ありかもしれません。
新京成線、常盤平駅、どちらにもなじみのない人が多いかもしれませんが、松戸で常磐線快速に乗り換えれば上野まで30分ほど。勤務先、通学先によっては意外に便利な立地で、その上、住宅価格も手頃。特に団地好きならお勧めです。