国民健康保険のしくみ
日本の健康保険制度は、職域ごとに加入する健康保険と、地域ごとに加入する国民健康保険があり、国内に住む全員が何らかの健康保険に加入する仕組みになっています。健康保険に加入し保険料を支払うことで、もし病気やケガをしたときに負担金の一部を支払うだけで診療が受けられます。残りの医療費は、保険者から医療機関等に支払われます。
今回取り上げる「国民健康保険」は、企業に勤めていない方、主に自営業者、または会社を退職した方が加入するケースが多い健康保険です。
国民健康保険のしくみ
2015年7月現在、国民健康保険は各市区町村が運営しており、保険料は住む地域によって異なります。国民健康保険は赤字が続いており、財政基盤を強化するため、2018年度より運営主体が市町村から都道府県に移される見込みです。
こんなときに軽減されます
国民健康保険では、保険料を納めたいのに経済的・身体的利用により納められない人のために、保険料の軽減・減免制度があります。国の法律で定められている「軽減制度」と、各市町村で定められた「減免制度」は異なる制度ですのでご注意ください。また、軽減・減免の具体的な基準は、運営する市区町村によって異なります。
■所得が一定金額以下になったとき、保険料が軽減されます。
市区町村によって減額方法・減額割合は異なりますが、一般的には前年の世帯所得の水準と世帯内の加入者数(世帯主を除く)によって、減額割合が7割・5割・2割という段階で軽減されます。例えば、前年の世帯所得が80万円で、加入者数が2名の場合は、保険料の中の均等割額(加入者数によってかかる額)が5割軽減されます。
東京都江戸川区の場合
詳しくは、お住まいの各市町村にお問い合わせ下さい。
■倒産などにより解雇された方は保険料が減額されます。
会社都合で解雇された人、特定受給資格者、特定理由離職者は、保険料が約7割減額されます。以下のいずれの条件にも該当する人は、届出により前年の給与所得を100分の30に軽減して保険料を計算します。
・離職日現在65歳未満の人
・平成21年3月31日以降に離職した人
・『雇用保険受給資格者証』が交付されている人で「特定受給資格者」または「特定理由離職者」の人のうち、特定の離職理由の番号が該当する人
軽減期間は、離職日の翌日の属する月から、その翌年度末までです。
なお、他の健康保険(任意継続保険は除く)に加入した場合は、その時点で軽減は終了します。
■旧被扶養者に軽減制度があります。
旧被扶養者とは、社会保険を脱退して後期高齢者医療制度に移行した人、国保に加入する前まで扶養されていた人のことです。
65歳以上の旧被扶養者の人の保険料は、申請すると、保険料均等割額の5割のみの保険料となります。
■保険料が減免されるとき。
天災などの災害で財産に甚大な被害を受けた場合、あるいは貧困により公私の扶助を受けている場合、保険料が減免される場合があります。公私の扶助を受けている状態とは、生活保護と同水準の収入、資産しかないようなことです。
申請手続きは各市区町村役場で行いますが、認可が降りるには審査があります。納付が困難な場合は相談に行かれることをおすすめします。
保険料を滞納すると…
では、保険料軽減や減免の申請をせずに、保険料を滞納するとどうなるのでしょうか。1年以上保険料を滞納すると、保険証ではなく、被保険者資格証明証が発行されます。被保険者資格証明書では、医療機関の窓口で医療費を全額支払った後、手続きをすれば市町村から保険給付分の7割が払い戻されます。さらに、1年半を超えて滞納すると、払い戻し分と滞納額を相殺される場合や、保険給付が一時差し止められる場合もあります。国民健康保険には、支払いを先延ばしにする徴収猶予や分割納付などの制度もあります。支払いが厳しいと感じたら、必ず各市区町村に相談しましょう。