アドバイス1 家計管理は優秀。このままのペースで
「マネープランクリニック」ですから、先にお金の話をいたします。相談者のWanderwallさんの家計を見る限り、とても優秀だと思います。今年、社会人1年目で、実家にも生活費を入れ、奨学金も返済している。それでいて、毎月4万~5万円貯蓄ができているのですから。
また、ボーナスで年間20万円貯蓄できるとなると、年間貯蓄額は74万円。目標とする29歳までの5年間に370万円。実際は、来年から住民税が発生しますので、場合によっては今年より手取額がへるかもしれませんが、彼女とともに貯めていけば、目標とする500万円は十分貯められるでしょう。
しかも、当初は同棲されるとのこと。実はお金の使い方はその人の生活スタイルそのものですから、生活を共にすることで、相手の価値観がよくわかります。そこで大事になるのは、自分と違う価値観をいかに理解し、認めるかということ。
私がマネー相談でお会いしたご夫婦にも、それができていないことがトラブルの根本原因というケースが少なくありません。いっしょに生活されたら、ぜひ、その点を意識し、ときに話し合い、お互いを認め合うよう心掛けてください。
また、共働き家計で言えば、結婚後、最初のハードルとなるのが、お子さんが生まれてからの数年間。奥様の収入が一時的に落ちるのと、幼稚園・保育園費用が家計負担となって、貯蓄ペースが落ちてしまいます。しかし、これはどの世帯でもあること。公立小学校に入学すれば貯蓄ペースは一気に改善しますので、焦らず、今のような家計管理を心がけていけば大丈夫です。
アドバイス2 結婚式は自分たちの価値観に合ったものにすればいい
結婚式については、「100万~150万円」くらいと考えているとのこと。挙式・披露宴の平均値はもっと高め(全国平均で330万円ほど。「ゼクシィ結婚トレンド調査2014」より)ですが、実際は親や親戚からの祝い金や出席者のご祝儀が入ります。ごく一般的な規模、場所等での結婚式は可能だと思います。今は結婚式にもいろんな形、選択肢があります。スマ婚と呼ばれる格安な挙式・披露宴を専門に扱う業者もあります。
まだ、時間はあります。世間に合わせるのではなく、自分たちの価値観、自分たちが行いたい式にすればいいのではないでしょうか。
アドバイス3 幸福は他人と比較するものではないと知ろう
さて、ご相談にある、気持ちの部分について触れたいと思います。まず、大学院に進学したことで、社会人のスタートが遅れ、結果的に同級生と比較して収入が低く、そのことへの焦りやうらやましい部分があるとのこと。気持ちはわかりますが、だから結婚しても「彼女を幸福にできない」という結論に本当になるでしょうか?幸福はお金だけで得られるものではありません。もっといろいろな要素で成り立っているものです。確かに人は相対的なものに左右されやすいもの。だから、とかく他人と比較しがち。そして、自分が昇給しても、他人がもっと昇給すれば、それを不幸と感じてしまう。それが相対的な影響の怖いところです。
考えてみてください。Wanderwallさんは「好きなことを仕事にし、やりがいを感じている」と言われています。しかも、ちゃんと給料を手にしている。そういう環境にいる人がどれだけいるでしょうか。
少なくとも、仕事に関してはとても恵まれています。それはとても幸せなことです。ただ、それでも報酬を求めたいと思うなら、転職をしてもいいでしょう。今の幸せを手放した上で、また感じ、知ることがあるはずです。そして、たとえ、結果的にその転職が失敗だとしても、まだ20代で十分若いのですから、いくらでもリスタートできますよ。
Wanderwallさんから寄せられた感想
八ツ井先生、今回はご回答をありがとうございます。アドバイスを拝見させていただき、率直に申しますと大変分かりやすかったです。金額的な問題も客観的に見ていただくと、不可能な範囲ではありませんでしたし、メンタル面でも先生にこのようにアドバイスをいただき、不安よりも自信がわいてきました。現在、彼女と同棲をいつから始めるかなど話し合っていますが、焦らずにお互いのペースで決めていこうと思っています。全てを言われたようにこなすのは難しいかもしれませんが、回答を真摯に受けとめ、頑張っていこうと思います。教えてくれたのは……
八ツ井慶子さん
取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ
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