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平成27年度司法書士試験を総括【午前択一・午後択一】(2ページ目)

7月5日(日)に平成27年度司法書士試験が行われました。この記事では、「午前択一」「午後択一」について、科目ごとに今年度の難易度や特徴を振り返っていきます。

松本 雅典

執筆者:松本 雅典

司法書士試験ガイド


午後択一(平成27年度司法書士試験)

■民事訴訟法(5問)
民事訴訟法は近年、「難しい→易しい→難しい→易しい」と、易しい年度と難しい年度が1年ごとになっており、その周期に従うと今年度は難しい年度と予想されていましたが、易しい年度でした。昨年度も易しい年度なのですが、今年度は、昨年度の第3問のように難問が含まれていない点を考えれば、昨年度よりも易化したとさえいえます。

■民事保全法(1問)
例年どおり易しい問題でした。民事保全法は、平成22年度は難問でしたが、それ以外は通常の学習で得点できる問題ばかりであり、今年度もその傾向は変わりませんでした。

■民事執行法(1問)
民事執行法は、近年は難問が続いていましたが、久しぶりに易化しました。ただし、通常のテキストには載っている知識なのですが、「債務名義」という昭和62年度以来、久しぶりに出題されたテーマでしたので、思ったよりは正答率が伸びませんでした。

■司法書士法(1問)
司法書士法も、民事保全法同様、例年どおり易しい問題でした。
ただし、ご注意いただきたい点が1点あります。司法書士法は、平成12年度~平成14年度まで出題がありませんでしたので、「平成11年度以前」と「平成15年度以降」で大きく分けることができます。平成24年度までは、「平成11年度以前」と「平成15年度以降」の出題傾向は明確に異なっていたのですが、平成25年度以降は、「平成11年度以前」の論点も出ており、その対策も必要です。今年度も、「平成11年度以前」の論点まで学習していなければ、正解できませんでした。

■供託法(3問)
供託法も、民事保全法・司法書士法同様、例年どおり易しい問題でした。合格する方は例年、供託法は1問も落としませんので、間違った問題がなかったかご確認ください。

■不動産登記法(16問)
午後択一で最も難しかったのが、不動産登記法です。
まず、テキストによっては載っていない少し細かい知識が含まれている問題が多かったことが原因です。
また、難しい問題が1問ごとに登場するので、「連続で正解できたな」という感覚が持てず、そのためリズムに乗れず、易しい問題も間違った方が多いと思います。
不動産登記法をスムーズに解けた方はほとんどいないでしょうが、苦しい中いかに取るべき問題を守れたかが勝負となりました。

■商業登記法(8問)
第33問の「資産の総額」は、誰も準備していない捨て問です。
それ以外の問題は、知識としては正解できる問題なのですが、第31問の「債権者保護手続」の個数問題や第34問の「特例有限会社から株式会社への移行」の登記記録問題など、時間がかかる問題が含まれており、その点が厳しかったです。
不動産登記法が難しかったので、商業登記法に時間を残せた方が少なかったと思います。
よって、商業登記法は、不動産登記法に時間をかけすぎず、商業登記法に時間を残せたかが勝負となりました。

なお、会社法同様、商業登記法でも改正法がどれくらい出題されるかが注目されていましたが、改正法の出題は、第29問(役員等の変更の登記)・ア・イのみです。会社法同様、出題はわずかでした。


午前択一・午後択一を総括

午前択一は、昨年度よりも大幅に易化し、過去10年間で最も難易度の低かった年度といえます。対照的に、午後択一は難しい年度といえます。

平成27年度司法書士試験

平成27年度司法書士試験

来年度の予測ですが、試験委員は「午前択一は易しくしすぎた」と後悔しているでしょうから、ほぼ確実に今年度よりは難しくなるでしょう。
では、午後択一も、今年度が難しかったからといって来年度が易化するかというと、そうとは言い切れません。近年は、午後択一は難しい年度が続いていますので、来年度も今年度と同様の難易度ということは、十分考えられます。
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