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偶然か?必然か?いま「25分番組」が面白すぎる(2ページ目)

番組の分類を放送時間の長さで行うなんて、ナンセンスに見えるかもしれませんが、全体から見るとごくわずかしかない「25分番組」が、どれも従来の番組にはない面白さを持っているんです。でも、そもそも番組の面白さと分数とに関連があるんでしょうか?

広川 峯啓

執筆者:広川 峯啓

お笑い・バラエティ番組ガイド

タイムラインが映し出す人間模様

先ほど挙げた25分番組の中で、いちばんの長寿番組といえるのが、2006年にスタート後、中断の時期を経て現在も熱烈なファンに支えられている「ドキュメント72時間」。レンタルビデオショップや下町のダンスホール、コスプレ撮影用のスタジオなど、毎回多種多様な舞台を設定し、その場所に集う人々に72時間ぶっ通しで取材する、従来のドキュメンタリーとは一線を画するプログラムです。

長年見ているせいかもしれませんが、取材開始前時点では毎回着地点の見えないこの番組には、もう少し見ていたいと思っているところにエンディングテーマ「川べりの家」が流れ出します。結論らしい結論が語られない異色のドキュメンタリーには、25分という枠がとても相応しい気がするんです。


25分、ラーメン食べっぱなしのドラマ!!

連続ドラマとしては超異色の全4話編成で、先ごろ好評のうちに終了したのが「ラーメン大好き小泉さん」。あら筋を一言で表せば「女子高生たちがラーメンを食べまくる」と、シンプルそのものですが、このミスマッチな2要素が融合したことで、なんとも言えない不思議な面白さが生まれました。

最終回には「私たち、もうラーメン食べなくていいみたい」なんて本音まじり(?)の台詞もありましたが、ぜひとも近いうちにシーズン2をスタートさせて、彼女たちにもっとラーメンを食べまくってもらいたいものです。


唯一、贅沢な時間の使い方で見せる番組

一方、同じような全4話編成にもかかわらず、すべて見終わった後には心地よい疲労感さえ感じられるのが「100分de名著」。25分×4で100分という、見事なまでに名は体を現している番組です。

カフカの「変身」、シェリー夫人の「フランケンシュタイン」、マキャベリの「君主論」など、毎回1冊の名作を4週100分間に渡ってじっくりと解説。読んだ事どころか存在さえも知らなかった視聴者にも理解してもらえるために、噛んで含めるように解説していきます。

司会の伊集院光が、いっさい事前知識を持たず、一般視聴者と同じ目線に立って質問したり意見を述べるというフォーマットはお見事。100分間番組に集中することさえできれば、次々登場する難解な書物を読破したも同然です(たぶん)。


最終的な結論は……

他の番組もそれぞれ、他にはない魅力を備えています。それが25分枠とどうかかわっているのか、真剣に考えてみたのですが、結論らしいものはおろか、強引な仮説さえ引き出すことができませんでした。

ただ、本番の収録後、編集作業に入った際には誰もが「あと5分ほしい!」と歯ぎしりした経験がある筈です(あの「100分de名著」だって同様でしょう)。こういった制約を逆にバネにして、独創的な番組作りが進められてると考えるのは、やや短絡的かもしれませんが……。

ただ一つ、自信を持って言えるのは、今後新たな25分番組が誕生したら、内容、出演者に関係なく、何をおいても見てみたいってことです。従来のテレビにはなかったもの、未来のテレビを変えてしまうものが、そこにあるような気がしてならないのです。
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