企業経営のノウハウ

これで伝わる! 社内報の企画立案と上手な料理方法

社内報担当者のお悩みBEST3、「良い企画が出ない」、「時間不足」、「編集スキル不足」(『社内報白書2015』)。この順位はほとんど変わることがありません。社内報は定期刊行物ですから、毎号企画が必要。「企画がマンネリになってしまう」、というお悩みもあります。同じネタに変化を付ける工夫も必要でしょう。今回は、そもそも社内報に求められる役割から、企画立案の際に考えるべきポイント、ヒントを記してみました。

豊田 健一

執筆者:豊田 健一

総務人事・社内コミュニケーションガイド

そもそも、なぜ社内報が必要とされるのか。社内報に求められる役割とは

創業間もない数人の会社。多くの場合、社内報は存在しません。
社内活性化している様子

創業期の社内コミュニケーションは、普通に活性化しているのに…

その頃は、社長を含めた社員全員が顔見知りであり、お互いのことを、プライベートも含め熟知しています。ワンフロアに一塊になって仕事をしていますから、誰とでもすぐに会話ができ、その場ですぐに全体会議も開けます。社内コミュニケーションは活性化していて、情報共有も随時できます。ベクトルの統一も自然になされる状態でしょう。

しかし、人数も増え、拠点もばらけるようになると、そうはいきません。社員数が300人を超えると社内報が必要になってくるといわれる所以です。社内報に求められる役割とは、まだ社内報が存在しなかったころに実現できていた、社内コミュニケーションの活性化、情報の共有、ベクトルの統一が考えられます。これらを社内メディアで実現しよう、そのような思いから社内報が存在してくるのです。

社内報がなかった頃、まだワンフロアに少人数が一塊で仕事をしていた頃、このときのコミュニケーションを考えてみてください。先に記したように、お互いのことをプライベートまで含めて熟知している、そのような前提でコミュニケーションがなされているはずです。相手の興味関心、相手の立場や仕事内容、現在抱えている課題までも把握した上でのコミュニケーションです。

ですから、相手が一番知りたいことを、理解しやすい状態で伝えることができます。相手の気持ちを考え、相手が納得して、共感してもらえるような内容で伝えることができます。結果として、すんなり行動を起こしてくれるのではないでしょうか。そのようなコミュニケーションを社内報で実現することが、社内報に求められている役割となります。

一番伝わるコミュニケーションとは、個別に、相手に合わせた内容で行なうことです。それを社内報で実現しようとするのであれば、全員に読んでもらえる企画、全員に伝わる企画は、そもそも不可能であることに気付かれるでしょう。

確かに、決算数字など、知ってもらう内容については、社員全員がターゲットとなり得ます。しかし、しっかりと理解してもらう企画、行動に結びつく企画については、ターゲットを明確に絞り、さらにそのターゲットについて“熟知”しないことには、伝わりません。

企画立案について、以下、いろいろな切り口を紹介していきますが、その際、最も大事なことが、読者ターゲットを絞り、そのターゲットについて知る、ことなのです。どのような思い、価値観を持ち働いているのか。現在抱えている不安とは。モチベーションの源とは。などなど、そのターゲットを思い描きながら企画を立案し、原稿を起こしていく。読まれるためには、そのことが大切なのです。

社内報、企画立案の公式

社内報の企画は、以下の公式で考えることができます。ここで大切なことは、「どうして欲しいか」という思いを明確にすることです。社内報の企画は、社内報の上で実現したいコミュニケーションそのものです。「コミュニケーションは要求である」とは、かのドラッガーの言葉です。「どうして欲しいか」という要求によりコミュニケーションが成立するのであれば、そこを明確にすることが大前提となるのです。

【誰が × 誰に × どうして欲しいから × 何を伝えるのか】
= 企画 【どのようなテーマとするか】

それぞれについては、以下の項目に分解できます。

【誰が】 
経営者、管理職、メンバー(ベテラン、中堅、若手、新人)等々 + 社内報担当者

【誰に】 
経営者、管理職、マネージャ、メンバー(ベテラン、中堅、若手、新人)等々

【どうして欲しいか】
○○について知って欲しい
○○について理解して欲しい
○○の事実に共感して、○○と同様に行動して欲しい、等々

企画、テーマが決まると、次にその料理方法が問題となります。いわゆる編集作業です。
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