そもそも、なぜ社内報が必要とされるのか。社内報に求められる役割とは
創業間もない数人の会社。多くの場合、社内報は存在しません。創業期の社内コミュニケーションは、普通に活性化しているのに…
しかし、人数も増え、拠点もばらけるようになると、そうはいきません。社員数が300人を超えると社内報が必要になってくるといわれる所以です。社内報に求められる役割とは、まだ社内報が存在しなかったころに実現できていた、社内コミュニケーションの活性化、情報の共有、ベクトルの統一が考えられます。これらを社内メディアで実現しよう、そのような思いから社内報が存在してくるのです。
社内報がなかった頃、まだワンフロアに少人数が一塊で仕事をしていた頃、このときのコミュニケーションを考えてみてください。先に記したように、お互いのことをプライベートまで含めて熟知している、そのような前提でコミュニケーションがなされているはずです。相手の興味関心、相手の立場や仕事内容、現在抱えている課題までも把握した上でのコミュニケーションです。
ですから、相手が一番知りたいことを、理解しやすい状態で伝えることができます。相手の気持ちを考え、相手が納得して、共感してもらえるような内容で伝えることができます。結果として、すんなり行動を起こしてくれるのではないでしょうか。そのようなコミュニケーションを社内報で実現することが、社内報に求められている役割となります。
一番伝わるコミュニケーションとは、個別に、相手に合わせた内容で行なうことです。それを社内報で実現しようとするのであれば、全員に読んでもらえる企画、全員に伝わる企画は、そもそも不可能であることに気付かれるでしょう。
確かに、決算数字など、知ってもらう内容については、社員全員がターゲットとなり得ます。しかし、しっかりと理解してもらう企画、行動に結びつく企画については、ターゲットを明確に絞り、さらにそのターゲットについて“熟知”しないことには、伝わりません。
企画立案について、以下、いろいろな切り口を紹介していきますが、その際、最も大事なことが、読者ターゲットを絞り、そのターゲットについて知る、ことなのです。どのような思い、価値観を持ち働いているのか。現在抱えている不安とは。モチベーションの源とは。などなど、そのターゲットを思い描きながら企画を立案し、原稿を起こしていく。読まれるためには、そのことが大切なのです。
社内報、企画立案の公式
社内報の企画は、以下の公式で考えることができます。ここで大切なことは、「どうして欲しいか」という思いを明確にすることです。社内報の企画は、社内報の上で実現したいコミュニケーションそのものです。「コミュニケーションは要求である」とは、かのドラッガーの言葉です。「どうして欲しいか」という要求によりコミュニケーションが成立するのであれば、そこを明確にすることが大前提となるのです。【誰が × 誰に × どうして欲しいから × 何を伝えるのか】
= 企画 【どのようなテーマとするか】
それぞれについては、以下の項目に分解できます。
【誰が】
経営者、管理職、メンバー(ベテラン、中堅、若手、新人)等々 + 社内報担当者
【誰に】
経営者、管理職、マネージャ、メンバー(ベテラン、中堅、若手、新人)等々
【どうして欲しいか】
○○について知って欲しい
○○について理解して欲しい
○○の事実に共感して、○○と同様に行動して欲しい、等々
企画、テーマが決まると、次にその料理方法が問題となります。いわゆる編集作業です。