企業経営のノウハウ

行政書士って何する人?

行政書士という言葉は聞いたことがあるけれど、どんな仕事かはよくわからない方が多いと思います。それもそのはず、なんと行政書士が扱う仕事の種類は1万以上!行政書士を上手に活用する為に、どんな仕事なのかをわかりやすくご紹介します。

執筆者:石下 貴大

コンビニによりも多い!?

行政書士という仕事について、最近ではCMでよく聞いたり、ちょっと前にはドラマになったりしているので聞いたことのある方は増えていると思います。ですが、その一方でどんな仕事をしていて、どんなところにいるのかについてはよく知られていないのではないかと思います。

実は東京都だけで行政書士は5600事務所以上あって、この数は東京にある大手コンビニチェーンの合計よりも多いのです。皆様のご自宅の近くや職場の周りにはコンビニがあると思いますが、それ以上に行政書士事務所の方が実はたくさん存在するのです。
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行政書士のバッジ


それほど多い行政書士ですが、どうしてその仕事内容があまり知られていないのでしょうか?

行政書士ってどんな仕事?

行政書士の仕事がわかりにくい最大の理由、それはその業務範囲の広さにあるといえます。たとえば税理士なら税務、司法書士なら登記、弁護士なら訴訟というイメージをもたれると思います。しかし、行政書士といえばといわれるとなかなか一言でいいづらいところがあります。

行政書士法第1条の2,1条の3では行政書士の業務は以下のように定められています。

(1)官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること
(2)官公署に提出する書類について、その提出の手続及び当該官公署に提出する許認可等に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法第72条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く)について代理すること
(3)契約その他に関する書類を代理人として作成すること
(4)行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること

まだちょっとわかりにくいので具体的に見ていきましょう。

行政書士は行政手続きの専門家

行政書士の仕事の大きく分けると次のように分類できます。

(1)企業法務
株式会社や一般社団法人などの法人設立手続き、契約書の作成・チェック業務、会計記帳業務、融資業務、補助金・助成金手続き
(2)市民法務
遺言・相続業務、後見業務、離婚協議書作成業務、交通事故の際の後遺障害等級認定サポート
(3)国際業務
留学生の手続き、外国企業の日本での法人設立手続き、各種ビザに関する手続き、国際結婚手続き
(4)許認可業務
建設業、飲食業、宅建業、産業廃棄物処理業、酒類販売業などの許認可手続き

このように行政書士といっても個人向けの仕事をしているか、法人向けの仕事をしているかでも仕事の内容はだいぶ変わりますし、会社向けの仕事といっても多種多様な内容になっています。

ある行政書士に会えば外国人ビザが専門であるといい、別の行政書士に聞くと建設業の許可関係が専門といい、また別の行政書士は相続専門ということがあるため、行政書士の仕事というのがわかりにくいのです。さらに、例えば許認可手続きだけでも1万種類以上あるといわれており、新たに法律が制定されれば必要な手続きが生まれることもあります。

行政書士はどこにいる?

では行政書士はどこにいるのでしょう?例えば税理士さんなら税務署、社会保険労務士であればハローワークや労働基準監督署、弁護士なら裁判所など仕事の場をイメージしやすいと思います。ですが行政書士は以上のように非常に仕事の幅が広い仕事ですので、専門によっている場所も変わって来ます。

企業法務のうち、株式会社や一般社団法人の設立手続きをする場合には、定款の認証が必要になりますので、公証役場というところに行くことになります。また、遺言公正証書、任意後見契約公正証書、金銭の貸借に関する契約や土地・建物などの賃貸借に関する公正証書を作成する場合にも公証役場を利用します。

次に市民法務でいうと相続手続きをする際に必要な戸籍の取得などは、区役所や市役所、役場に行くことになります。またこれらの役所では多くの許認可手続きで必要な住民票や身分証明書が取得できるので許認可を専門とする行政書士もよく利用します。

次に国際業務ですが、なんといっても主な仕事場は入国管理局です。ある程度場所によって違いますが、特に東京入国管理局は人が多く、特に月曜と金曜は圧倒的に混みあっています。特に留学生の審査や就職、転職の多い2月や3月はさらに混雑が激しく、100人待ちなどざらで、2時間以上入管に滞在するのも珍しくありません。

最後に許認可業務ですが、これも業務によって管轄する役所が異なります。リサイクル業を営む為に必要な古物商の場合には警察署が窓口になりますし、宅建業の場合には都道府県庁、車の名義変更なら運輸局です。飲食業は保健所、酒類販売業は税務署に申請します。

このように何を専門にするかによって行政書士が活動する場も変わるのです。

専門を見極めて相談を

以上のように行政書士の仕事は非常に幅が広いのです。法律で弁護士や社会保険労務士、税理士、司法書士など他の専門家の仕事とされている手続き以外の全てといえるかもしれません。

そのため行政書士が出来る仕事の全てに精通することはほとんど不可能といえると思います。だからこそ、行政書士をお探しの場合には、何を専門にしている行政書士かを見極めることが非常に大事なのです。
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