テクノポップ/海外のテクノポップ

推定年齢90歳代、カリ・ムッツア

「中南米テクノ」シリーズの第2回は、チリ版M.I.A.とも呼ばれるカリ・ムッツア (Kali Mutsa)! 現在、日本ではほとんどノーマーク状態ですが、電子クンビア、フォルクローレ、ジプシーサウンド、ファンコット、ボリウッドの辺境サウンドのミネストローネ。作り込み具合が半端でない、カリ・ムッツアの音楽とは?

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

チリで活躍する女優

ガイド:
では、「中南米テクノ」第2回を始めましょう。今回も南米の長細い国、チリです。前回のハビエラちゃんは僕から始めたので、今回はマツミさんの先攻でお願いします。

マツミ:
では、カリ・ムッツア (Kali Mutsa)を紹介します。カリ・ムッツアは、チリで女優として活躍するセリーヌ・レイモンド (Celine Reymond)が2010年頃より始動した音楽プロジェクトです。女優が歌手活動を行うというケースは日本でもよく耳にしますが、ここまで徹底的なコンセプトで作り込まれた人はなかなかいないのではないでしょうか。

Celine Reymond (LATERCERA)

ガイド:
カリ・ムッツア…僕もマツミさんに教えてもらうまで知りませんでした。ハビエラちゃんと同じく、チリの首都、サンディエゴ出身ですね。日本語でカリ・ムッツアに関して書かれたWEB上の記事もほぼなく、ノーマーク状態。これは、音楽発掘集団(二人しかいませんが…)としては、やり甲斐があります。

マツミ:
まずカリ・ムッツアの"設定"を説明すると、本名はPharaoh Koralle Esperanza del Carmen Pantic…。

ガイド:
名前、長~い! 女優さんが架空の設定で歌う…まるでツリメラみたいですね~(笑)。

推定年齢90歳代

マツミ:
1920年代にチリ北部のタラパカ州にある「パチャクティクの谷 (Valley of Pachacuti)」で生まれた彼女は、早くに親を亡くし孤児となってしまいます。その後15歳でアレハンドリアのサーカス団の一員となり、世界中を流浪。そのうち人々の前からその姿を消し、数十年という長い期間を経て再び現れたのだそう。生まれ年から計算すると90歳代という高齢になりますが、その身体と美貌は若い頃のまま…という何とも都市伝説級のバックグラウンドです(笑)。ロマ語で「黒猫」を意味するKali Mutsaの通り名は、サーカス団にいた時代に名付けられたニックネームなのかもしれません。

ガイド:
セリーヌの実際の年齢は、34歳なので、かなりサバを読んでいます。

マツミ:
しかも60近くも上の年齢でのサバ読み(笑)!

ガイド:
まあ、ツリメラの1億歳よりは自称年齢は若いですが(笑)。

スペイン語とロマ語のミックス

マツミ:
デビューEPにあたる『Ambrolina』(2011年)は、スペイン語とロマ語の歌詞を織り交ぜつつ、エキゾチックな辺境ポップを聴かせています。

Ambrolina (amazon.co.jp)
ambrolina

Ambrolina


Tunupa (YouTube)

ガイド:
「Tunupa」は、辺境ポップの極み! クンビアがベースになっていますが、このごちゃ混ぜ感はグッときますね。映画女優としてもベッドシーンを大胆にこなせる人のようで、クリップからもエロスが伝わります。
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