社内コミュニケーションと社内広報の位置関係
社内コミュニケーションの活性化が、さらに求められる時代
コーポレート・コミュニケーション研究所の所長であった故・城義紀さんは下記のように定義づけでいます。
社内コミュニケーション
=フォーマルコミュニケーション+インフォーマルコミュニケーション
フォーマルコミュニケーション=業務上のコミュニケーション+教育+社内広報
そして、社内広報については、下記の項目が含まれると定義しています。
□経営理念、ビジョン、方針の浸透
□行動規範、倫理綱領の浸透
□危機管理意識の醸成
□全社組織と所属組織の役割の共通理解
□経営計画、特別プロジェクトの共通理解
□教育および業務上のコミュニケーション不全の補完
□社内外の知識、情報のギャップの是正
□エンプロイヤビリティの促進
□社会人、家庭人としての意識、態度、能力の促進
□人間的魅力増進への介助
業務上のコミュニケーションとは、日々仕事上でやり取りされる、業務上必要不可欠なコンテンツを含む会話です。教育とは、特定の階層、属性を持つ従業員に対して、同一のコンテンツを覚える、あるいは身につけるように指導する、強制的なコミュニケーションです。
社内広報とは先の定義にもある、「教育および業務上のコミュニケーション不全の補完」、つまりは、絶対に認知しておかないと業務ができないか、というわけではないが、組織に身を置く構成員として、知っておいた方が仕事がしやすいし、有利に、効率的に業務が進められ、評価も高まる、そのようなコンテンツの伝達、そのように言えるかもしれません。
社内広報では、主に社内報という社内コミュニケーションメディアが使われるのも合点がいきます。社内報を読まないと業務ができないというわけではないが、読むことにより社内情報が理解でき、業務が円滑に進む、そのような存在であるからです。
『社内報白書2015』に見る、社内広報の目的
最後に、実際の社内広報担当者は社内広報をどのように捉えているのでしょうか。ナナ総合コミユニケーション研究所で発行している『社内報白書2015』で見ていきましょう。先にあげた社内広報の定義。社内広報担当者はどの項目を社内広報の目的として重要視しているでしょうか。
1 社内情報の共有 (87.8%)
2 経営理念、ビジョンの浸透 (75.8%)
3 会社の現況の伝達 (69.7%)
4 経営方針の周知徹底 (69.3%)
5 企業文化、風土の醸成 (56.1%)
以下、組織の活性化、会社の歴史の記録、会社組織と所属組織の役割の共通理解、愛社心の醸成、社員の意識改革。このようになっています。
先に記した定義では「社内外の知識、情報のギャップの是正」が社内情報の共有、会社の現況の伝達に該当するでしょう。社内で起こっている出来事、状況を知らない従業員に伝えよう、ギャップを是正しよう、とすることがまずは大事であると認識しているようです。
それと前後して、経営理念の浸透、経営方針の周知徹底と、会社の向かうべき方向性の周知徹底が意識されています。その経営理念が会社の体質に表れるものが企業文化であり社風です。これは社内広報だけではなし得ないが、その醸成をサポートするものとして社内広報の機能を活用しようとしているのでしょう。
組織は人と、その人と人でのコミュニケーションがベースで成立します。なので、さまざまな社内コミュニケーションの取り組みが実行されていると思います。まずはその全体像、考え方を押さえて、無駄のない、目的に合致した活動ができるように、今回は組織でいま重要視されている社内コミュニケーションと社内広報について、その関係性を紹介しました。